享栄・東松快征(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
享栄・東松快征(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)

 高校野球の地方大会も全国各地で甲子園の出場校が決まり始め、佳境を迎えた感があるが、昨年から目立つのが下級生の活躍だ。この夏は岩手大会の準決勝で敗れたものの、佐々木麟太郎(花巻東・一塁手)は既に高校通算本塁打数を74本まで伸ばしており、揃ってセンバツに出場した真鍋慧(広陵・一塁手)、佐倉侠史朗(九州国際大付・一塁手)も同じスラッガータイプとして早くから注目を集めている。そして彼ら以外にも下級生に楽しみな選手は非常に多い。そこで今回はこの春から夏にかけて浮上してきた高校2年生、1年生の逸材を一足早く紹介したいと思う。

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 投手ではセンバツ優勝にも大きく貢献した前田悠伍(大阪桐蔭)が早くから活躍しているが、同じ左投手で有力候補になりそうなのが東松快征(享栄)だ。昨年秋は控え投手だったものの、冬の間にスケールアップを果たしエース格へと成長。春の県大会はチーム内の新型コロナウイルス感染で準々決勝で出場辞退となったものの、その後に行われた天理との招待試合では5回を投げて1失点と好投。最速147キロをマークしたストレートは高めも低めも勢い十分で、センバツにも出場した強力打線を力で抑え込んで見せたのだ。

 この夏の初戦となった春日井工科戦でも3回を投げて被安打1、7奪三振。2度目の登板となった5回戦の大成戦でも4回を投げて5安打を浴びたものの、9奪三振、無失点と圧巻の投球を見せている。たくましい体格で下半身が強く、高校生の本格派サウスポーでありながらコントロールが安定しているというのも大きな長所だ。チームを1995年以来となる夏の甲子園出場に導き、甲子園でも快投を見せれば来年の目玉となる可能性も十分にあるだろう。

 斉藤優汰(苫小牧中央)、門別啓人(東海大札幌)、坂本拓己(知内)、森谷大誠(札幌大谷)、と今年の北海道は好投手が揃うが、来年楽しみなのが細野龍之介(札幌新陽)だ。春、夏と札幌支部大会で門別と投げ合い、いずれも接戦で敗れたものの、見事なピッチングを見せて評価を上げた。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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