感染拡大を受け、高齢者施設での面会の自粛などを呼びかける吉村洋文・大阪府知事
感染拡大を受け、高齢者施設での面会の自粛などを呼びかける吉村洋文・大阪府知事

 新型コロナウイルスの急激な感染拡大で、各自治体も対策に追われている。そんななか、全国最多の死者数を出した大阪府で、警戒信号が「黄色」となり、再び“アラート”が鳴り始めている。コロナの感染者情報を把握・管理する厚生労働省のシステム「ハーシス」の入力漏れや、利用率が低かった大規模医療・療養センターなど、これまでのコロナ対策では、さまざまな問題点も指摘されてきた。第7波の対策は大丈夫なのか。現場を追った。

「陽性者の数が増え、それに対して夜間・休日対応可能な外来医療機関が少ないため、案内が集中し医療機関が圧迫」

 そんなメッセージが、大阪府のコロナ陽性者24時間緊急サポートセンター(自宅待機SOS)のオペレーターに送信された。

 自宅待機SOSは、保健所と並び、最前線で感染者の対応にあたる。昨年、保健所の業務逼迫(ひっぱく)で、陽性者が医療機関の受診や、ホテルでの宿泊療養などについて保健所に問い合わせようとしても連絡がつかないケースが多くなり、11月に大阪府が開設した。

 宿泊療養、配食サービスの手配、健康相談などを担っている。

「保健所のサポート、受け皿となるはずの自宅待機SOSですが、こちらも業務逼迫で帰りはいつも終電です」

 と自宅待機SOSのスタッフはこぼす。

 昨年、大阪府では、入院できない感染者が自宅で亡くなったケースが多数出て、大きな問題となった。大阪市では今年1月から2月にかけて、医療機関から保健所に提出された発生届約2万1900件について、ハーシスへの入力が滞り、新規感染者数すら正確にカウントできない事態となった。

 現在、急激に増えていく感染者数の推移と、冒頭のようなメッセージ。また問題が再来するのではと、不安視する声が上がり始めている。

 大阪府は7月20日の新規感染者数が東京都を上回り、過去最多となる2万1976人を記録した。1週間前と比べ約2倍と急増している。

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宿泊療養を希望しても3、4日待つ可能性