2018年4月22日、五輪2大会連続金メダルを獲得して仙台市での祝賀パレードに臨む羽生結弦。両手を顔の近くで振る姿に沿道に集まったファンは歓喜!!
2018年4月22日、五輪2大会連続金メダルを獲得して仙台市での祝賀パレードに臨む羽生結弦。両手を顔の近くで振る姿に沿道に集まったファンは歓喜!!

 フィギュアスケート男子で五輪連覇の羽生結弦が19日に都内で記者会見を開き、今後競技会には出場せず、プロに転向する意向を発表した。

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 この一報は世界でも大きな反響を呼んだ。中国のSNS「微博(ウェイボー)」では多くの書き込みが投稿された。「私たちの心揺さぶる感動を与えてくれたユズル、感動をありがとう。これからのあなたの挑戦を応援している」、「ユズルは唯一無二。世界でも代わる人はいない。これからも独特の世界観で魅了してほしい。あなたの幸福を心より願っている」と羽生への感謝のコメントであふれた。

 羽生は2014年にソチ五輪、18年に平昌五輪の2大会連続で、男子シングルの金メダルを獲得。3連覇を目指した北京五輪ではフリーで前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦して転倒して4位に終わったが、国際スケート連盟に世界で初めてクワッドアクセルと認定された。右足首の負傷を抱えながら大技に迷わず挑んだ姿は日本のファンでなく、世界中で大きな感動を呼んだ。

 北京五輪を取材した中国在住の記者はこう語る。

「羽生は中国で特別な存在でした。彼の一挙手一投足が注目され、北京五輪ではメダルを獲得できなかったにもかかわらず、現地メディアの話題は『羽生一色』でした。20代から50代と幅広い年齢層の女性から人気ですが、男性ファンも多い。強さとはかなさが同居する演技力、生き方に心を揺さぶられるという意見が目立ちます。謙虚で礼儀正しい一面も人気の要因です。中国に対しても好意的で優しかった。国境を越えてこれほど絶大な人気を誇る日本人のアスリートはなかなか現れないでしょう」

 ただ、ファンから「羽生ロス」の声がそれほど多くないのは、羽生がアスリートとしてスケートを極めたい思いを記者会見で何度も強調したからだろう。

「これからさらに自分が努力したい方向だったりとか自分が理想としているフィギュアスケートっていう形だったりとか、そういったものを追い求めるのは競技会じゃなくてもできるなって。むしろ競技会じゃないところのほうがみなさんに見て頂けるんじゃないかなっていうふうに思ってこういう決断をしました」

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