全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士は、

「統一教会の収入のうち、7割が日本からで、寄付、霊感商法、合同結婚式の参加費用関連などで占められているようです。寄付のノルマを課し、信者や支部の責任者としてはやしたて、より多くのカネを集めようとしていた。それは、統一教会がダミー会社を設立して、セミナーを開催し、高麗人参などの健康食品や家系図などを販売する手法とも同じです。ダミー会社が違法な販売で、刑事事件となり有罪判決となった例もある」

 と説明する。

霊感商法で売られていた壷(1987年撮影)
霊感商法で売られていた壷(1987年撮影)

 山上容疑者の母親は、統一教会の聖地とされる韓国・清平(ちょんぴょん)の教団施設で、40日間続けて行われる「HJ天宙天寶修錬苑」に何度も参加していたという。修行の内容は、ヨガやビデオの視聴、講座、祈とうなど。1回につき、渡航費を含めて100万円近くの費用がかかるそうだ。

 元信者の女性が話す。

「修練会に行くというのは、修行のようなものです。多額のお金がかかり、40日と長いのでそう簡単に参加できません。信者が修行に行くというのは、支部の幹部にとっても統一教会本部へのアピールになります。お母さまは病気がちの長男を連れて親子で参加していたこともあります。『ご先祖様も安心され、長男の病気も治るはず』と言っていました」

 一方で、元信者の女性は統一教会への不信感が募っていったという。

 あまりに頻繁に寄付やつぼの購入などを要求され、出す人が優遇されて、出せない人は幹部からつるし上げられる。元信者の女性は、家族から「絶縁する」と言われ、周囲からの説得もあり、脱会を決意する。入信してから7、8年ほどした時だ。

「山上容疑者のお母さまからは『一緒に続けましょう』と何度も説得されました。私が脱会の決意をしたのはお母さまの破産も一つのきっかけでした。それまでお母さまを大事にしていた支部も、『金の切れ目が縁の切れ目』とばかりに、粗末に扱うようになりました。また、お母さまの親族が統一教会に入信していなかったことに幹部は『信仰が足りない』なとど叱責(しっせき)していました。今思えば、お母さまの親族が安定した仕事についておられたようで、統一教会はさらなる寄付がほしいと考えていたようです。幹部の言うことは絶対の統一教会。お母さまはいくら叱責されても、グッとこらえていました」

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過去には『家土地売って、財布を置いていけ』もあった