献花台に訪れた弔問者(撮影・東川哲也)
献花台に訪れた弔問者(撮影・東川哲也)

 参院選の応援演説中に銃弾に倒れた安倍晋三元首相のお通夜が、7月11日午後6時から、東京都港区の増上寺で営まれた。岸田文雄首相ら国会議員が訪れる一方、一般の弔問者用の献花台も置かれ、多くの人が手を合わせていた。「安倍元首相がいなくなった喪失感が強い」と“安倍ロス”を語る女性もいた。

【写真】献花台に置かれた安倍元首相の遺影

 報道陣には、道路を挟んだ反対側の歩道か公園で取材するよう要請が出ており、道路を隔てた歩道に、赤い三角すいのコーンが置かれ、仕切られていた。

 そこには数百人の報道陣が集まり、カメラを構え、訪れる弔問者を確認していた。海外メディア数社がリポートもしていた。

増上寺の門の前には、多くの報道陣が集まった(撮影・東川哲也)
増上寺の門の前には、多くの報道陣が集まった(撮影・東川哲也)

 現場周辺には大勢の警察官がいて、ものものしい雰囲気に。

 そうしたなか、午後5時半ごろ、寺の正面から、今回の参院選で当選した三原じゅん子氏が道路前に出てきた。

「みはらさーん」という報道陣の呼びかけには答えず、数分間、タクシーを探している様子だった。

 午後6時ちょうど、SPの人数が増えたとたん、岸田首相を乗せた黒塗りのセンチュリーが到着し、寺の中へ入っていった。

 一方、一般弔問者用の献花台も午後3時から寺の敷地内に設けられた。夕方には勤務を終えた会社員らが、絶え間なく訪れ、献花台近くで渡される一輪の白の花を、遺影が飾られた献花台に手向けていた。

献花台前には弔問に訪れた人たちの列ができた(撮影・東川哲也』
献花台前には弔問に訪れた人たちの列ができた(撮影・東川哲也』

 近くの会社に勤めているという女性は、

「今日は仕事を終えてすぐ献花に来ました。安倍元首相は、お父さんのような、お兄さんのような存在。みんなを包み込むような温かさがあった。いろいろ批判されもしましたが、常に国民の方を見て全力で闘ってくださったと思います。今はテレビもつらくて見られないです。安倍元首相がいなくなった喪失感は大きいです」

 と静かに語った。

 大阪から東京の大学病院に通院にきたという50代の女性は、

「ちょうど東京に来たので安倍さんに献花しにきました。明日帰ります。ご冥福をお祈りします」。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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