辻元清美氏の応援で演説する菅元首相=大阪・京橋駅前
辻元清美氏の応援で演説する菅元首相=大阪・京橋駅前

 自民党圧勝との情勢分析もあり、勝負はすでに決したような参院選だが、“場外乱闘”は盛り上がっている。立憲民主党と日本維新の会の「野党第1党」をかけた戦い。昨年の衆院選の勢いを駆って勢力拡大を目指す維新に対し、立憲はその衆院選で敗れた辻元清美氏を比例候補として前面に押し出し、知名度を生かして票の獲得につなげる狙いだ。

【写真】昨日の友は今日の敵?

 公示後、最初の日曜となった6月26日、大阪のターミナル・京橋駅前に来た辻元氏。集まった支持者を前に、

「物価が上がって、児童手当打ち切りや減額という岸田政権。病気なって熱出ている人に水かけているようなもんや」

 と声を上げた。

 このまま以前のように政権を「ぶった切る」ような演説が続く、と思いきや、自民への批判はそこそこに、矛先を維新に向けた。

 維新が進める大阪・関西万博やカジノを含む統合型リゾート(IR)について触れ、

「物価上昇で経済がしんどい。大阪はコロナでたくさんの方がお亡くなりになった。ウクライナ戦争の危機もある。こんな危機で維新はカジノ、カジノ、カジノ。世界でカジノ言っているのは大阪だけ」

「カジノを頼って景気浮揚、これはおかしい」

「カジノ、万博、これって昭和の政治じゃないですか」

 と大きな声で訴えた。

 その批判は、全国を参院選の支持で駆け回る、維新の松井一郎代表、吉村洋文副代表にも及んだ。

「大阪の知事、市長は、府民、市民のために仕事をすべきだ。それをほっぽり出して参院選の演説に回る、おかしいと思いませんか!」

 そして、辻元氏の横には、マイクを握った菅直人元首相の姿があった。

 菅元首相は、参院選の前に、

「維新政治を斬る! 日本維新の会の研究」

 という冊子を発行した。その冊子を手に菅元首相は、

「維新の大ウソを徹底的に調べて、書いています。このパンフレットを出して、維新からは何もクレーム、反論などはきていません。これを読んで大阪の皆さん、2人に1人が維新に投票しないようになれば、大阪選挙区で維新2人の当選はありません」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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菅元首相に「大阪特命担当」の肩書