帝京長岡・茨木秀俊(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
帝京長岡・茨木秀俊(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)

 沖縄、北海道、兵庫など高校野球の地方大会は既に開幕している地区もあるが、7月からはいよいよ全国で甲子園出場を目指す戦いが本格化することになる。ドラフト候補となる選手にとっては大きなアピールの場となるが、この夏の活躍次第で急浮上する可能性を秘めた選手について探ってみたいと思う。今回は投手編だ。(※「野手編」はこちら

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・坂本拓己(北海道・知内) 180cm85kg 左投左打

 北海道の投手では斉藤優汰(苫小牧中央)と門別啓人(東海大札幌)の2人が評判となっているが、もう1人面白い存在になりそうなのが知内のエースである坂本だ。昨年秋の全道大会では初戦で士別翔雲に1対2で敗れたものの12奪三振をマーク。春の全道大会でも駒大苫小牧、東海大札幌の強豪を相手に好投を見せている。たくましい体格で下半身の強いフォームが特長で、力を抜いて楽に腕を振って投げられるストレートは数字以上の勢いを感じる。高校生サウスポーにしてはコントロールも安定しており、走者を背負ってから粘れるのも持ち味だ。夏の函館支部予選の初戦で2回をパーフェクト、6奪三振と圧巻のピッチングを見せ、ストレートの最速も143キロをマークしている。順調に勝ち進み、南北海道大会でも結果を残せば貴重なサウスポーだけに人気が高くなることも十分に考えられるだろう。

・田村朋輝(山形・酒田南) 182cm82kg 右投右打

 東北では1、2を争う存在と言われる本格派右腕。昨年秋はまだまだ細身だったが、それでもコンスタントに140キロを超えるスピードをマークし、早くから注目を集めている。今年の春は体つきが見違えるように大きくなり、さらにボールの力がアップしたように見える。手足の長い、いかにも投手らしい体つきで、腕の振りに柔らかさがあるのも持ち味。上から腕を振ることができ、指にかかった時のボールの角度も素晴らしいものがある。少しリズムが単調で、スピードの割にとらえられることが多く、昨年の秋、今年の春と東北大会では打ち込まれている。安定感はまだまだ課題が残るものの、ポテンシャルの高さは誰が見ても明らかである。この夏、どこまで試合をしっかり作れるようになるかに注目だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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新潟、徳島に“大化け”期待したい投手