ロッテの佐々木朗希
ロッテの佐々木朗希

 日本のプロ野球界は「投高打低」の傾向が顕著になっている。6月22日現在でセリーグは阪神の青柳晃洋、西勇輝、パリーグはオリックスの山本由伸、山岡泰輔、ロッテ・佐々木朗希、石川歩、日本ハム・加藤貴之と計7人が防御率1点台をマーク。一方で、打率3割以上の選手はセパ合わせて5人のみだ。

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 投手は「大記録のオンパレード」となっている。ロッテの佐々木は4月10日のオリックス戦で史上最年少の20歳5カ月で完全試合を達成。13者連続三振とこれまでの日本記録だった9者連続三振を大幅に更新し、日本記録タイ記録の1試合19奪三振と衝撃の投球だった。続く同月17日の日本ハム戦も8回まで走者を1人も出さず14奪三振の完全投球。日米通じて初の「2試合連続完全試合」の期待が高まったが、コンディションを考慮して9回のマウンドに登らず大記録は幻に終わった。

 さらに、ソフトバンクの東浜巨が5月11日の西武戦、DeNA・今永昇太が6月7日の日本ハム戦、オリックス・山本が同月18日の西武戦でノーヒットノーランを達成。同一シーズンで4度のノーヒットノーランは1943年以来79年ぶりだった。記録達成はならなかったが、中日大野雄大も5月6日の阪神戦で9回まで走者を1人も出さない完全投球を披露。打線の援護がなく、延長10回に安打を許したがあと一歩だった。投手たちの好投は称賛されるべきだが、わずか3カ月の間にノーヒットノーランがこれだけ出るのは、「異常事態」といえる。

 なぜ、打者がここまで打てないのか。セリーグ球団のスコアラーはこう分析する。

「150キロ以上の直球を投げる投手たちが当たり前の時代になり、打者が対応できなくなっているのが大きい。140キロ台は打撃練習を積み重ねる事で打ち返せるようになりますが、150キロを超えると動体視力の問題もあり、ミスショットや空振りが増えてしまう。今年に限った話ではなく、数年前から投高打低の傾向は出ていました。変化球もどんどん進化していますし、投手有利の時代がしばらく続くのではないでしょうか」

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