発明した小学生メンバーたち(写真提供:「悟空のきもち THE LABO 」)
発明した小学生メンバーたち(写真提供:「悟空のきもち THE LABO 」)

 5月末に「悟空のきもち THE LABO」から、ニュースリリースの形でマスコミや世間に公表した。この批判コメントの騒動は、かえって「さんぽセル」への注目を集めた。予約を含めこれまでに約3000台の注文が入った。現在も4カ月待ちの人気商品になっている。

 さらに、もうひと仕掛けを試みた。まず、これだけ「大人」の批判が殺到した商品を、開発した小学生らも自分たちで使うのは勇気がいる。小学生のメンバーは、こう言い出した。

「友だちにも使ってもらうために、配りたい」

 そうはいっても、1台5940円(税込)と安くはない。費用を捻出するために、6月初旬からクラウドファンディングを募った。わずか2週間ほどで、3500台分の金額が集まった。しかし、小学生メンバーの友だちは、3000人もいない。岡村さんは、こう投げかけた。

「どうする。小学生以外で、渡したい相手はいない?」

 ゆうや君とれいや君がこう口をひらいた。

「えらい人にプレゼントしよう。受け取ってもらえたら、批判がなくなるかもしれない」 

 大学生が、「えらい人」とは誰を指すのかとたずねると、小学生から次々と案が飛び出した。「校長先生」、「市長」、「総理大臣」。子どもたちの発想は、柔軟だ。

 6月13日、「悟空のきもち THE LABO 」のホームぺージには、「校長先生・市長・文部科学大臣・内閣総理大臣 応募フォーム」が設置された。そして翌14日には、末松文科大臣が会見で、子どもらへの応援メッセージを発信したのだ。「さんぽセル」を開発した子どもらは、こう話している。

「この商品は売れなくてもいい。必要ないってことは、重いランドセルがなくなるってことでしょ。僕たちの願いはランドセルが軽くなることだから。軽いランドセルで学校に通いたい」

 6月17日現在で、すでに全国から3人の校長先生と栃木県内の市長、ひとりから応募が来ている。

  岸田文雄総理からの応募も、子どもたちは心待ちにしている。

(AERAdot.編集部・永井貴子)