ソフトバンクの柳田悠岐
ソフトバンクの柳田悠岐

 柳田悠岐(ソフトバンク)が5月31日に巨人の3投手から「1試合5三振」を喫した。「三振は多いが、本塁打も多い」のは普通かもしれないが、柳田は「三振は多いが、打率は高い」という異彩を放つ打者である。三振について探ってみた。(記録は6月16日現在)

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 過去の「1試合5三振」で、とくに目を引くのは3人だ。1980年のソレイタ(日本ハム)はこの年リーグ最多の121三振を喫したが、日本記録の「4打席連続本塁打」を実に2度記録(シーズン45本塁打)した。2019年の坂本勇人(巨人)は123三振だったが、1985年の宇野勝(中日=41本)以来、史上2人目となる遊撃手の40本塁打をマークした。さらに、2021年の佐藤輝明(阪神)はリーグ最多の173三振を記録したが、球団新人新記録の24本塁打を放った。米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平にしても、昨年の189三振は球団記録だったが、46本塁打をマークした。

 通算本塁打400本以上の選手は史上20人しかいない。中村剛也(西武、通算1952三振)は、通算三振数史上1位の清原和博(西武ほか=通算1955三振)に迫る勢いだ。史上4位の山崎武司(中日ほか=通算1715三振)は「三振でも、いい当たりのライナーでも、同じ1アウトに変わりなし」の考えを持っている。本塁打が多い強打者は、強く思い切り振るから三振も多くなる。つまり「三振の延長が本塁打」ともいえるだろう。中村は現役20年間で打率3割以上は皆無で、山崎も現役27年間で打率3割超えは2度しかない。

 柳田がフルスイングした打球の飛距離は群を抜いている。15年に三浦大輔(現・DeNA監督)から打った、横浜スタジアムのスコアボードを直撃した特大本塁打は記憶に新しい。この年の「トリプルスリー」達成が物語るように「三振は多いが、本塁打も打てて、打率が高い」異色の打者なのだ。これまで2度首位打者に輝いているが、15年は101三振ながら打率.363、34本塁打。18年は105三振ながら打率.352、36本塁打だ。

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