巨人は坂本勇人の復帰が“上がり目要素”
巨人は坂本勇人の復帰が“上がり目要素”

 ペナントレースの約4割を消化した今年のプロ野球。セ・リーグでは昨年の覇者であるヤクルトが交流戦でも大きく勝ち越すなど、頭一つリードした印象を受ける。絶対的な先発の柱は不在だがリリーフ陣が昨年を上回る安定感を見せ、打線では主砲の村上宗隆がさすがの存在感を示している。長期離脱中の奥川恭伸、サンタナが戻ってくることができれば、一気にリーグ連覇へと加速することも十分に考えられるだろう。果たしてそんなヤクルトに迫ることができるチームは出てくるのか。残り5球団の今後のプラス要素を探ってみたいと思う(成績は6月9日終了時点)。

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 2位につけている巨人では、やはり坂本勇人の復帰が大きい。右膝の故障で1カ月以上の間、戦列を離れていたが、6月9日に一軍登録されると、復帰初戦の西武戦ではいきなり3安打をマークする大活躍を見せてチームの勝利に大きく貢献して見せたのだ。不安視されていた守備面ではそれほど目立つプレーはなかったが、打撃に関しては全く問題ないと言って良いだろう。

 ホームラン、打点こそ多いものの打率が低調な主砲の岡本和真も坂本の復帰で負担が減り、状態が上向くことも期待できる。他にも丸佳浩、ポランコ、ウォーカーが揃う打線はリーグでもトップの長打力があるだけに、今後の得点力アップも見込めるはずだ。

 一方の投手ではクローザーを任されているルーキーの大勢など若手の奮闘が目立つが、夏場以降に疲れが出てくることも十分に考えられる。そんな中で復活が待たれるのが中川皓太とビエイラの2人だ。中川は腰痛でいまだに調整が続いているが、徐々にランニング、キャッチボールの強度が上がってきているという報道もある。また開幕から乱調が続いていたビエイラは二軍で結果を残し、6月9日にようやく一軍再登録を果たした。この2人が夏場までに本来の状態に戻ってくれば、ヤクルトにも負けないだけのリリーフ陣を構築できる可能性は高い。先発投手陣は決して負けていないだけに、取りこぼしを減らすためにもこの2人の復調にかかる期待は大きい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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巨人以外で“上がり目要素”あるのは?