昨年は夏の甲子園の地方大会で準決勝まで進出した松山商
昨年は夏の甲子園の地方大会で準決勝まで進出した松山商

 高校野球の春季大会も多くの地区で終了し、今月下旬には夏の甲子園出場をかけた地方大会もスタートする。今年は大阪桐蔭の春夏連覇、智弁和歌山の夏連覇などに注目が集まるが、オールドファンにとって気になるのがかつて甲子園を席巻した“古豪”の復活ではないだろうか。そこで今回はそんな長らく甲子園出場から遠ざかっていながら、近いうちに戻ってくる雰囲気のあるチームをピックアップして紹介したいと思う。

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 まず筆頭候補として取り上げたいのが享栄(愛知)だ。愛知県では長く中京大中京、東邦、愛工大名電の3校と並んで“私学四強”と言われており、春夏合わせて19回甲子園出場を果たしている。しかし他の3校全てが2000年以降にも春、夏どちらかで甲子園優勝を果たしているのとは対照的になかなか県内でも勝てない時期が続き、センバツは2000年、夏の選手権は1995年を最後に甲子園出場から遠ざかっている。

 そんな低迷するチームが大きく変わるきっかけとなったのが、ライバルである中京大中京で甲子園優勝経験もある大藤敏行監督の就任だ。2018年8月に監督に就任すると着実にチーム力が強化され、昨年は春夏連続で県大会準優勝。秋には県大会優勝を果たしたのだ。その後の東海大会では大垣日大に敗れてセンバツ出場を逃し、春の県大会では準々決勝まで勝ち上がりながら部員の新型コロナウィルス感染で出場辞退となったが、県内でもトップクラスの実力があることは間違いない。特に2年生左腕の東松快征は140キロ台後半のスピードを誇る本格派で、既にプロからも高い注目を集めている。春の出遅れを取り戻して、ここからチーム状態を上げていくことができれば、27年ぶりとなる夏の甲子園も見えてくるだろう。

 愛知と並ぶ激戦区である神奈川で復活の兆しが見えているのが横浜商だ。戦前から選手権、センバツに何度も出場している伝統校で、1983年には甲子園春夏準優勝という記録も残している。1990年代以降は横浜、東海大相模、桐蔭学園、桐光学園などに押され、1997年のセンバツを最後に甲子園出場から遠ざかっていたが、近年は県内の各地から選手が進学してくるケースが増えて徐々に復活の兆しを見せている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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他にも久々に聖地に戻ってきそうな古豪