マスク着用についても、5月20日に日本政府の見解が発表されました。屋外であれば会話がない場合、会話があっても距離が2メートル以上離れている場合、ランニング中、自転車を運転しているときは着用の必要はなく、屋内であれば通勤電車内など、人と距離を確保できない場合は会話の有無にかかわらず「着用を推奨」とし、距離を確保できる場合は、ほとんど会話しなければ着用は不要、会話するとしても十分な換気などの感染防止対策が取られていれば外すことも可能となりました。

 しかし、日本においてマスクの着用義務はそもそもなく、感染予防対策の一つとして「マスク着用のお願い」がされてきました。つまり任意であるにも関わらず、首相は外国人観光客に対し、「日本のマスク着用ルールに従ってもらわなければならない」と述べ、旅行会社などを通じてマスク着用の徹底を求める考えを示したことが報じられています。日本人はマクス着用が任意であるのに、観光目的で入国してきた外国人に対しては、マスク着用の徹底を求めるというのも、これまた矛盾しているのではないでしょうか。

 新型コロナウイルス感染症対策による厳しい行動制限のなかった今年の大型連休を利用し、2年ぶりにアメリカに行ってきました。今回の渡米で私が注目したことの一つ目は、「マスクの着用」についてでした。カリフォルニア州在住の友人からは「去年からもう普通に生活しているよ。ジムでたまにマスク姿を見かけるくらいで、ほとんどの人がつけていない。マスクしているのは、ワクチン接種していない人とか、重症化のリスクが高い人だと思う」と聞いていたからです。

 2022年4月18日には、フロリダ州連邦地方裁判所が、米疾病対策センター(CDC)が策定した公共交通機関でのマスク着用義務の延長を無効とする判決を下しました。その結果、CDCが2021年1月29日に出した飛行機や電車、バスやフェリーなどの公共交通機関の車内および空港や駅、港などの交通拠点でのマスクを義務づける命令は効力を失い、CDCは公共交通機関の屋内におけるマスクの着用を引き続き「推奨」することに変更しています。

次のページ
多くの人がマスクをせずに日常を過ごす