中古スマホ店「イオシス」のアキバ中央通り店の店内
中古スマホ店「イオシス」のアキバ中央通り店の店内

 中古スマートホンの市場に地殻変動が起きている。これまでは、大手キャリアほどの知名度がない業者が扱い、いま一つわかりづらいというイメージがつきまとったが、ここ1年足らずでAU、ソフトバンク、そしてドコモが参入し始めた。中古を専門に扱ってきた会社にとっては脅威となるのかと思いきや、実はそれほどマイナスの話でもないという。

【写真】中古スマホ店に置いてある最新のiPhone13

「コアなうちのお客さんは、年に1回ではなく、2~4回買い替えています」

 そう話すのは、東京、愛知、大阪、福岡で計10店舗の中古スマホショップを展開するイオシスの「アキバ中央通店」マーケティング担当の奥野隆司さんだ。

 東京・秋葉原にある同店のガラスのショーケース内には、中古スマホがぎっしりと並んでいる。

「店の隣にはうちの買い取りセンターがあり、その上の階でも在庫をストックしています。在庫数は7千台くらい。晴れた日の日曜には買い取りセンターの前に、スマホを売るお客さんの行列ができます」

 さっそく、大手キャリアが中古市場に参入したことについて聞いてみると、

「うちとしては大歓迎ですよ」

 と意外な答えが返ってきた。

「中古スマホというと、マイナスイメージを持たれている方がまだかなりおられます。それを、大手キャリアが扱うとなると中古のイメージアップにつながり、安心して使えるものなんだ、という認知度が高まります。さらに、『中古スマホ』というワードがメディアに取り上げられれば取り上げられるほど宣伝効果も見込めますし、中古を求める購入者の母数が増えることにもつながります」(同)

 秋葉原は、イオシス以外にも、多くの中古スマホショップがシノギを削る激戦区となっている。

 他の中古スマホ店にとっても、大手キャリアの参入は脅威にはならないのだろうか。

 直営、フランチャイズ(FC)を含め、全国に29店舗を構える「アメモバ」(本社は東京・上野)。同社の清水志代表は、大手キャリアの進出について、

「今のところ大きな影響はないです。直接的なライバルにはなっていません」

 と話す。現状では業績も好調という。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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