部下の意見を聞かないカタブツの上司には「空中戦」が有効だ。写真はイメージ(PIXTA)
部下の意見を聞かないカタブツの上司には「空中戦」が有効だ。写真はイメージ(PIXTA)

仕事にやりがいを感じていている人でも、労働環境がブラックな人でも、転職を考えている人の多くは「人間関係」に悩み、それを主な転職理由としています。気まぐれな上司、言うことをきかない部下、一方的に敵視してくる同期……組織とは人がつくり、人で成り立つものであるがゆえに、人間関係の悩みは尽きません。自分が所属する組織の中でどう振る舞い、どのように人間関係を築くかは、決してAIには代替できない「最強のスキル」なのです。特に規律を重んじる官僚組織では、それはより顕著になります。内閣府の元官僚・久保田崇さんはハードな現場で「処世術(スキル)」を武器に生き残ってきました。その一部を『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)より抜粋。今回は「組織における空中戦」というテーマで、上司や第三者を巻き込んで状況を好転させるスキルを紹介します。

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 上司や統括部署などに対して人間関係を構築し、誠意を尽くして事前の説明や根回しを行い、資料や根拠もしっかり準備をしているのにもかかわらず、相手が「わからず屋」であるためどうしても了解が得られない。このようなケースに、あなたも遭遇したことがあるのではないでしょうか。ここではそのような場合に知っておくべき「空中戦スキル」をご紹介します。ただし、副作用やリスクもありますので、使用される際には十分に気をつけることと、多用されないことをおすすめします。まずは、私の実体験をお聞きください。

 係長をしていたある時、私はA省庁およびB省庁との交渉に臨んでいました。私(自省庁)が進めたい案件に対し、A省庁のスタンスは否定的でとても厳しく、こちらとしてはかなりの妥協を強いられましたが、なんとか合意するメドがつきました。ところが、さらに合意を取り付けなければならないB省庁はまともに取り合わず、B省庁内部で真剣に検討しているかどうかも疑われる対応を取っていました。こちらの立場からするとその案件で合意できないととても困るので、正攻法だけではダメだと判断し、上司と相談した上で次のような対応を取ることにしました。

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他の省庁や議連を巻き込んで「説得」