現在はメッツに在籍している加藤豪将(写真/gettyimages)
現在はメッツに在籍している加藤豪将(写真/gettyimages)

 日本の国籍を持つ選手としては、初めてメジャーリーグドラフトで全体100位以内で指名を受けた加藤豪将。今季はプロ入り10年目にしてメジャーデビューを果たしたことが話題となった。

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 その後、所属していたブルージェイズでは初ヒットも記録したが早々に事実上の戦力外(DFA)となり、メッツに移籍後もメジャーに定着できない日々が続いている。米国では安定したポジションを確立できない加藤については、NPBドラフトを通じての日本球界入りを熱望する声も聞こえている。仮に加藤がNPBへの移籍を希望した場合、実際に獲得に動く球団はあるのか、そして日本で活躍するだけの実力はあるのだろうか。

 6歳の時に当時住んでいたサンディエゴで野球を始めた加藤は、ランチョ・バーナード高に在学中、打率.411、25本塁打、114打点の成績を残し、ルイスビルスラッガー社が選ぶ全米ファーストチーム(全米の高校生ベストナイン)に選出。攻守に優れた高校生としてメジャー球団の目に留まり、2013年のドラフトでヤンキースの2巡目(全体66位)指名を受けてプロ入りした。

「米球界では10代の選手に関しては技術よりもフィジカル、メンタル面を考慮して指名する傾向が強い。(加藤は)飛び抜けた体格ではないがパワーとスピードに優れている。米国の選手に引けを取らないと判断されただけでも評価に値する。日本人選手特有の技術の高さ、細かさが加われば、勝負も期待できると判断されて指名された」(MLBアジア地区担当スカウト)

 加藤はプロ入り後も着実にステップアップし、2019年にはチーム傘下の3Aで83試合に出場し、打率.279、11本塁打、39打点、8盗塁、出塁率.382をマーク。その後はマーリンズ、パドレスのマイナーでプレーし、パドレス時代にも3Aで打率.306を記録するなど結果を残したが、メジャーに昇格することはなかった。

「プロ入り後の成長曲線は素晴らしく、獲得したい球団も数多くあったがヤンキースは手放さなかった。マーリンズ移籍でチャンスがあると思えたがコロナ禍が重なり、タイミングも悪かった(マーリンズに在籍した2020年はマイナーの試合が開催されず)。各球団、経営状態が悪化してマイナー球団も削減された。多くの要因が重なり所属球団での出場機会も限られてしまった」(在米スポーツライター)

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日本での“需要”は高い?