今や、一見しただけではどう読んだらいいのかわからない名前は主流派だ(gettyimages)
今や、一見しただけではどう読んだらいいのかわからない名前は主流派だ(gettyimages)

 氏名の読み仮名を戸籍に記載するための議論が、昨秋、法務省の法制審議会の部会で始まった。行政手続きのデジタル化を進めるうえでルールを検討してきたが、部会は17日、中間試案をまとめた。「光宙」を「ピカチュウ」、「大空」を「スカイ」と読むなど、字義と関連がある読み方は幅広く容認される見込みで、SNSでも大きな話題となった。そこで、改めて注目された「キラキラネーム」と呼ばれる漢字本来の読みとは異なる名前。『キラキラネームの大研究』の著書がある文筆家の伊東ひとみさんに、最近の命名の傾向を聞いた。

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 キラキラネームはたびたび話題になりますが、メディアで取り上げられる「光宙」と書いて「ピカチュウ」と読むような極端な名前は、実在するかどうか、本当のところはよくわかりません。ただ、タレントの松嶋尚美さんのお子さんは「空詩」で「ララ」さん、俳優の的場浩司さんのお子さんは「宝冠」で「ティアラ」さんと、なかなか個性的な名前のようです。身近なところでも、「心愛」で「ココア」、「結愛」で「ユア」といった読めない名前に出合う機会は増えていると思います。

 つい数日前、友人から、ある選考会で約220人の応募者のうち、かなりの人数が キラキラネームだったと聞きました。友人は「名前の入力作業に疲れた」と嘆いていたほど。変換候補に出てこないような名前ばかりだったのでしょう。それほど今の子どもたちにおいては、常識的な漢字の読みとは異なる名前が多いということです。

■「陽翔」や「陽葵」 読み方様々

 明治安田生命は、生まれ年別の名前調査として毎年「名前ランキング」を発表しています。2021年の男の子の名前1位は「蓮」と書いて普通に「レン」と読みますが、2位の「陽翔」は「ハルト」「ヒナタ」「ヒュウガ」「ヤマト」などと様々な読み方がありました。女の子の名前1位は「紬」で「ツムギ」ですが、2位の「陽葵」は「ヒマリ」「ハルキ」「ヒナタ」「ヒナ」などと読むそうです。こうした「陽翔」や「陽葵」がランキングの上位に入るほど、今や、一見しただけではどう読んだらいいのかわからない名前は主流派になっているのです。

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漢字が「感字」になる?