※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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中高年の頻尿は「年だから仕方ない」ととらえられがちだが、過活動膀胱や前立腺肥大症などが原因のケースも多い。生活に支障をきたすようになったら、原因疾患の存在を探り、適切な治療を受けることが頻尿の改善につながる。

【データ】頻尿が起こりやすい年代は?主な症状は?

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 頻尿は昼間に8回以上行く場合、夜間頻尿は就寝中に1回以上行く場合と定義されている。しかし、夜、1回トイレに起きるという人は少なくない。そのため、臨床の場では、2回以上を夜間頻尿とすることが多い。

 50代後半から患者数が急増する頻尿は、加齢がおもな誘因だが、その背景には、過活動膀胱と、男性では前立腺肥大症が存在することが多い。どちらも適切な治療を受ければ改善が可能で、頻尿も軽快する見込みが高い。

 頻尿によって生活に支障をきたすようになったら、受診を考慮しよう。まずかかりつけ医に相談して、基本的な診断・治療を受ける。改善がみられないようであれば、泌尿器科や排尿機能外来、女性の場合はウロギネ外来などを紹介してもらうといいだろう。

 診断には、医師の指導のもとで、飲水量、尿量、回数などを記入する「排尿日誌」が有効だ。自分の水分摂取量や尿量が明らかになって、頻尿の診断・治療に役立てられる。特に夜間頻尿の診断・治療では、排尿日誌が必要になる。めんどうがらずに記入を習慣化したい。

 頻尿の代表的な原因疾患として、過活動膀胱と前立腺肥大症があげられる。受診時には問診や、「過活動膀胱症状質問票」「国際前立腺症状スコア」などを用いて、症状を明らかにし、診断に導く。

■原因疾患の改善で頻尿も軽快する

【過活動膀胱】

 過活動膀胱は、膀胱が過敏になって、過剰に活動してしまうイメージだ。女性に好発するが、男性にも発症する。40歳以上の約12・4%(8人に1人)、80歳以上では約50%にみられる。推定患者数は約1千万人というデータもあり、身近な病気といえる。

 頻尿のほかに、▼突然尿意が起きて我慢できない(尿意切迫感)▼そのためトイレに間に合わず、尿が漏れてしまう(切迫性尿失禁)といった症状を伴うのが特徴だ。

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加齢によって膀胱容量が小さくなるほか