(左から)ヤクルトの村上宗隆、岡本和真(巨人)、山川穂高(西武)
(左から)ヤクルトの村上宗隆、岡本和真(巨人)、山川穂高(西武)

 プロ野球開幕から1カ月半、今季は「日本人4番打者」が華やかな打ち合いをみせている。かつての名将・野村克也監督の持論は「(チームに影響を与える)エースと4番は日本人がいい」だった。周囲が「打ってほしい」と願うときに打つのが4番の真骨頂だ。各球団の「日本人4番打者」の現在の働きを探ってみた。

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 ヤクルト村上宗隆は5月3日、阪神の連勝を6で止める先制7号2ランを放った。この時点までの7本中、実に6本が流し打ち。2021年の東京五輪決勝のアメリカ戦で打った、左中間への値千金の本塁打が思い浮かぶ。本塁打を広角に打てれば、三冠王の目も出てくるだろう。また6日と7日は2日連続の満塁弾。現在、12球団で「真の4番の風格」を醸し出すのは、村上、岡本和真巨人)、山川穂高西武)の3人だろう。

 阪神の大山悠輔は、4月22日に4番で今季初の本塁打を放った。この先制3号2ランはチームの連敗を4で止める決勝打となった。5月1日から6日まで19打席連続無安打と苦しんだが、昨年の阪神V逸の要因とされた「4番不在」の批判をシャットアウトする覚悟だ。その大山の「ライバル」と言われる佐藤輝明は4月24日、6号2ランを放った。29日は大山とのアベック弾で、青柳晃洋の2戦連続完投勝利を導いた。5月6日には、延長10回に大野雄大中日)の完全試合を阻むヒットを放った。4番争いはチームを活気づける。「5代目ミスタータイガース」の誕生が、阪神を上位に引き上げる起爆剤になるだろう。

 巨人の岡本は、村上と本塁打と打点のタイトル争いを演じている。昨年、あの長嶋茂雄もできなかった「巨人の右打者で2年連続二冠」を達成した。4月29日には4戦連発の本塁打でセ・リーグ最速の10号。特大の一発で試合の形勢とムードを逆転する力は12球団でも群を抜いている。3月18日のオープン戦では、今をときめく佐々木朗希(ロッテ)から3点差をひっくり返す逆転満塁アーチを放っている。菅野智之が右ひじ違和感、坂本勇人がひざじん帯損傷で1軍登録を抹消されただけに、軸となる「4番・岡本」の打棒は頼もしい限りだ。

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