また良い転職エージェントに出会えば、自分の良いところだけでなく、良くないところや伸ばすべきポイントも教えてくれる。エージェントは人によるため、当たり外れもあるが、「自分を鞭打ってくれるアドバイザーと出会えたら、直近の転職成功だけでなく、次のキャリアまで見据えた提案をしてくれます」(同)

 さらに、求職者にとって最も気になるポイントが、「年収交渉」と「実際の労働環境はどのようなものか」という点だろう。多くの場合、内定後に条件が提示され、具体的な交渉に入っていく。年収や働きやすさといった点について、「こんなことを聞くと印象が悪くなるのでは」と不安になる人も多いが、後から「こんなはずじゃなかった」とならないためには、事前の交渉が欠かせない。

「“採用する側”と“される側”という構図では、大事なことが聞きづらいという声もよく聞かれますが、求職者も企業と対等という意識を持つべき。自分が譲れないポイントは、相手にきちんと伝えておくことが必要です」(同)

 まずは、年収交渉。転職の度に年収を上げてきた戸塚さんは、転職エージェントとの面談や企業との面接で、「最も大切な転職の軸は何ですか?」と聞かれた時に、「年収です」と言い切ってきた。年収重視していることを明確に伝えておくことで、互いに無駄に時間を割くこともなく、交渉できる状況を作ってしまえるわけだ。その際、転職先の給与体系を知っておくことも大切になる。給与体系を知っておくことで、自分のオファー年収がどのあたりなのかを把握できるからだ。また、年収を優先させる代わりに自分が諦めているポイントもセットで伝えることも大切だ。

写真はイメージ(GettyImages)
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「年収重視であれば、“最後の決め手は年収です”と宣言して問題ないと思います。その代わり、自分が譲れる条件も伝えてください。自分に明確な軸があったほうが、ふわふわと転職活動している人よりも印象がいいと思います」(同)

 年収交渉とセットで考えるべきなのが、「自分が会社から何を期待されているのか」という点だ。高い年収をもらうための交渉をしても、結果を出せる環境でなければ、入社後に期待に答えられないことになりかねない。だから自分に期待されている成果や、与えられる裁量権など、入社して自分がどんな動きをするのかということは、なるべく具体的に聞いておく。

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