放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん

 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、ディズニーの「強気な仕掛け」。そして、その目的について。

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 マーベルの新作映画「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」を見てきました。平たく言えば「ドクター・ストレンジ2」です。

 配信で映画を見る人がどんどん増えてきている中、その中で、新しい仕掛けを作ってきたなと思ったのです。マーベル見てない人も多いと思うので、映画の詳しい中身はほぼ説明しません。どの辺が新しくて凄いと思ったかを説明します。

 まず今回の映画に出てくる悪役は「ワンダ」という女性です。元々はアベンジャーズシリーズで「仲間」だったのですが、最愛の人がいなくなり、変わってしまったのです。

 その敵のワンダが、なぜ、敵になっていったのか。おそらくこの映画だけ見た人はほぼ理解できないのではないかと思います。

 じゃあ、どうやったらわかるのか? 他の映画? 違います。映像配信サービス「ディズニープラス」で配信されている「ワンダビジョン」というドラマを全話見ると、ワンダがなぜ敵になったのかがわかるのです。

 つまり、「ディズニープラス」に入って、このドラマを全部見ないと、「ドクター・ストレンジ2」は全力で楽しめないのです。

 なんて強気な仕掛けなんでしょう。ちなみにうちの家族は全員、ドラマ「ワンダビジョン」を見ていたため、めちゃくちゃ楽しめました!! そして家に帰ってもう一度「ワンダビジョン」を見てしまいました。

 この「ディズニープラス」のドラマからつなげる作り。批判的な人も当然沢山いると思います。ですが、配信サービスで、公開されてからすぐに配信される映画も増えてきています。

 映画を映画館で見る!には理由が必要な時代になってきています。

 そんな中、ディズニープラスでおもしろいドラマを作って、それを映画につなげていく。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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