ロッテ・佐々木朗希
ロッテ・佐々木朗希

 今年のプロ野球で最も強烈なインパクトを残している選手と言えばやはり佐々木朗希(ロッテ)になるだろう。4月10日のオリックス戦では28年ぶりとなる完全試合を達成するとともに、13者連続奪三振のプロ野球新記録も樹立。翌週の日本ハム戦でも8回まで完全投球、14奪三振と完璧な投球を見せたのだ。現時点での奪三振率は15.21、1イニング当たりの被安打と与四球を示すWHIPは0.60と先発投手としては驚異的な数字となっている。得点を奪う以前に出塁する、三振しないことすら難しい次元と言えるだろう。今年で21歳ということを考えるとまだまだここから凄みが増していくことが期待できそうだが、一方の野手ではどうだろうか。

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 現役で最も異次元の存在になる可能性を秘めた存在としては今年2年目の五十幡亮汰(日本ハム)を挙げたい。もちろん期待されるのはその圧倒的なスピードだ。俊足自慢の選手でもトップスピードになるまでの加速が良い選手と、トップスピードそのものが速い選手の2種類がいると言われているが、五十幡に関してはどちらにおいても超一流であることは間違いない。

 11.00秒を切ればプロでもトップクラスと言われるスリーベースの三塁到達タイムは大学時代に筆者が確認できただけでも10.58秒を2度マークしている。ちなみに一昨年50盗塁をマークして盗塁王に輝いた周東佑京(ソフトバンク)の大学時代のタイムが10.98秒だったことを考えると、いかに五十幡のタイムがずば抜けたものであることがよく分かるだろう。

 4.00秒を切れば俊足と言われる一塁到達タイムも3.7秒台をマークすることが多く、普通の内野ゴロでもヒットになるケースも少なくない。かつてロッテが陸上100メートルの日本記録保持者だった飯島秀雄を代走専門の選手としてドラフトで指名したことがあったが、それを除けば長いプロ野球の歴史の中でもナンバーワンのスピードの持ち主といっても過言ではないだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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五十幡が“課題”をクリアできれば…