蓄積疲労は3段階で進行する。イライラしがちな人は「疲労の2段階」にいると自覚してほしい(本書『イライラ・怒りをとる技術』より)
蓄積疲労は3段階で進行する。イライラしがちな人は「疲労の2段階」にいると自覚してほしい(本書『イライラ・怒りをとる技術』より)

 理由はハッキリとわからないが、なぜかイライラしている。配偶者や子どもの言動がいちいち、気に障る。上司の何気ない一言に、瞬間的にムカッとくる……。「イライラ」を感じたときに真っ先にするべきことがある、と語るのは元自衛隊メンタル教官の下園壮太さん。『自衛隊メンタル教官が教える イライラ・怒りをとる技術』を最近、刊行した下園さんに正しいイライラ対処法を教わった。

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■現代人を「スーツを着た原始人」と考えてみると

 最近、何だか理由はわからないけど、イライラするなあ、と思うことはないでしょうか。毎日、何かしらイライラとして、心穏やかに過ごせない。そんな自分自身や生活に嫌気が差した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

「イライラ」とは小さな怒りです。怒りは、自分の土地・食料・所有物、愛、自由、立場、居場所、価値観などが侵されないように警戒する感情です。こうした領域に不法侵入の気配があるとき、「イライラ」が発動します。

 私は人間を理解しようとするとき、現代人を「スーツを着た原始人」と捉えて考えます。人類の歴史は、400万年とも言われていますが、人類の歴史を1月1日から始まる1年に例えると、人類最古の土器が使われた1万6500年前が、12月31日の夜の9時過ぎごろの話になります。四大文明が生まれた5000年前は夜11時、電気が発明され夜も活発に活動できるようになったのは、夜11時30分。インターネットが発明されたのは、年が変わる20秒前のことです。

 つまり、私たちの無意識には、このように長い原始時代を生き延びるためのプログラムがしっかり刻み込まれており、それは、ほんの短い現代社会という環境ではまだ修正されていないのです。

 原始人的には、エネルギーのレベルが下がった状態は、襲撃されたら戦えない、逃げ遅れるかもしれないことを意味します。そのため、他者との交流を考えただけで“殺されるかもしれない”というレベルの被害妄想的な反応になってしまうのです。現実に自分に痛みや苦しみ、これ以上の労働を強いる兆候がある場合には、怒りの発動はさらに早くなります。

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イライラの原因は「相手」ではなく「自分」にある