塾通いに習い事に運動にと、なにかと忙しい現代っ子ですが、睡眠は最重要。充実した毎日を過ごすには、質と量、どちらも必須です。しっかり寝てスッキリと翌朝を迎えるための習慣とは? 精神科医の樺沢紫苑先生に聞きました。発売中の「AERA with Kids2022春号」(朝日新聞出版)から一部抜粋してお届けします。

MENU (1)動画やゲームは遅くても寝る30分前には終わらせる (2)寝る30分前からリラックスして過ごすようにする (3)寝る2時間前までに食事、90分前までに入浴がベター (4)寝る前に親子で会話をするとぐっすり眠れる (5)寝る直前に3行ポジティブ日記を書いてみる (6)勉強より睡眠! よく眠ったほうが記憶が定着する (7)休日も朝日を浴びて体を動かせば夜は自然と眠くなる

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 睡眠不足はデメリットだらけで、何一ついいことがありません。集中力や注意力、判断力、記憶力、気分などが低下することが明らかになっています。大人でも睡眠不足だと家事の効率が悪くなったり、仕事に集中できなかったり、イライラすることはありませんか? また、風邪以外にもがんや糖尿病など将来的に病気にかかるリスクを高めたり、寿命を縮めたりすることも研究でわかっています。

 さらに、睡眠不足になると、食欲増進ホルモンのグレリンが増え、食欲抑制ホルモンのレプチンが減ります。つまり、食欲が異常に増して「食べたい!」という衝動が抑えられなくなるのです。いくら成長期とはいえ、ドカ食いをして、必要以上にハイカロリー、高脂肪の食べ物を摂り続けていては、肥満の可能性が高まり、健康面も心配になりますね。

 試験前にも睡眠時間を削って勉強時間を増やすのではなく、しっかり寝て集中力など「質」を高めましょう。

 必要な睡眠時間は子どもによっても、年齢によっても異なります。朝目覚めたときの気分がいいかどうか、日中の眠気がないかどうか、チェックしてみましょう。ここでは、「いい眠り」のためのおすすめの習慣を紹介します。

(1)動画やゲームは遅くても寝る30分前には終わらせる

 寝る直前の動画やゲームは睡眠の妨げになるのでやめたほうがいいでしょう。その理由は二つあります。一つめは、「ブルーライト」です。ブルーライトはタブレットやスマホ、パソコン、ゲーム機などの画面から発される青い光のこと。青空の波長と同じなので、ブルーライトを浴びると脳が昼間だと錯覚し、睡眠物質メラトニンの生成を抑えてしまいます。

 二つめが、「ドーパミン」。面白い動画やゲームに夢中になると、脳が興奮し、ドーパミンが分泌されます。ドーパミンは心臓をドキドキさせる物質です。脳を昼間と勘違いさせ、さらに興奮させてしまっている状態では、布団に入ってもなかなか寝つけないですよね。

 動画・ゲームタイムの理想は就寝2時間前までと言いたいところですが、せめて寝る30分前から動画やゲーム、スマホの画面は見ないようにしましょう。大人もこれは同じ。就寝前に「LINEの返信だけはしておきたい」といった場合でも、5分以内にすませたいところです。

<親の行動Point>
早めに夕食、入浴をすませていても、寝る直前までテレビや動画をダラダラ見るのは避けて。就寝30分前になったら親もスマホを見るのはストップ!

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AERA with Kids編集部
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