正捕手不在の中で奮闘しているヤクルト・古賀優大(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)
正捕手不在の中で奮闘しているヤクルト・古賀優大(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)

 29年ぶりのリーグ連覇、そして初の2年連続日本一を目指しながら、現在は11勝10敗でセ・リーグ4位のヤクルト。それでも善戦と言えるのは、主力の離脱という誤算が相次いでいるからだ。

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 昨年の日本シリーズMVPに輝いた正捕手の中村悠平、高卒2年目にしてチームトップタイの9勝を挙げた奥川恭伸、今年は開幕10試合で4本塁打、10打点と打ちまくっていた5番バッターのドミンゴ・サンタナ、2年連続最優秀中継ぎのセットアッパー清水昇。連覇に向けての重要なピースを担うはずだった選手をこれだけ欠きながらも、勝率5割前後で踏みとどまっている陰には、それを支える“脇役”たちの存在がある。

 中でも大きいのは昨年までレギュラーを務めた経験がないながらも、扇の要たる中村の穴を埋める3人のキャッチャーの奮闘だろう。その筆頭が、ここまで21試合中14試合でスタメンマスクを被っている古賀優大(23歳)だ。

 高卒6年目のシーズンを迎えている古賀の魅力は、持ち前の強肩。阪神との開幕戦ではいきなり近本光司と中野拓夢の1、2番コンビの盗塁を立て続けに阻止するなど、盗塁阻止率はセ・リーグ2位の.600に上る。4月10日の巨人戦(東京ドーム)から19日の中日戦(バンテリンドーム)にかけては、先発マスクを被った5試合ですべてチームに勝利をもたらし、19日の試合で今季初勝利を挙げたサイスニードに「古賀とはあうんの呼吸で、そこも良かった」と言わしめた。

 ただし、昨季まで通算打率.172のバットの方は、今季も4月9日の時点で打率.158。そこで翌10日からは、ランナーがいてもいなくてもバントの構えから打ちにいくバスター打法を取り入れた。古賀は今から2年前、2019年の夏にもファームでこの打法に取り組んでいて、2割そこそこだった打率を最後は.290まで引き上げている。

 一軍では基本的にバスターを封印しながらも、昨年は「打たないと中村さんを超えることはできないと思う」と、キャリアハイの打率.224をマーク。7月3日の中日戦(バンテリンドーム)では、自身初の1試合4安打も記録した。ところが今年は開幕からなかなか快音を響かせることができなかった。

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