しつけや教育、受験などのノウハウや体験談が書かれたいわゆる「子育て本」が今人気です。親戚や近所付き合いの中から子育てを自然に学ぶことができた昔と違い、核家族で育った親にとって、これらの本から知識や情報を得ることは日々の子育ての大きな頼りになります。子育て情報誌「AERA with Kids」(朝日新聞出版)の編集を12年経験した同誌元編集長の江口祐子さんは、新刊『子育て本ベストセラー100冊の「これスゴイ」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)の中で、子育て本に書かれているエッセンスを紹介しています。本稿では、この時期、親が子どもに掛けがちな言葉について、子育て本から読み解きます。

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 10年以上子育て情報誌の編集をやってきた中で、多くの教育者、起業家、子育て経験のある母親たちに取材してきました。そしてその方たちが書いた子育て本、教育書も何百冊と読んできました。

 それらの本を読んで感じたことは、どんな時代になっても変わらない、多くの子育て本で書かれている「子育ての基本」と、これからの時代を生きる子どもを育てるために変えていきたい「新しい教育観」の二つがある、ということです。

 例えば、子育てをしていると悩むのが「子どもの要望を聞いてあげる」ことと「甘やかし」の境界線。ある世代以上の人たちは、「厳しくしつけてこそ教育」と思っている人が多いのではないでしょうか。

 子育て中のお母さんたちからは、同居していたり、近所に住んでいたりする自分の親、あるいは義母から「そんなに甘やかしていいの?」ととがめられ、「子育てに自信をなくしました」という声をよく聞きました。

 特に新しい学年になった今、子どもに「自立」を期待する親、祖父母はたくさんいると思います。「もう1年生なんだから自分でやらなくちゃ」「3年生になったから甘えはなし」などですね。果たして、「○年生になったから」という言葉は子どもの自立を促すのでしょうか。

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江口祐子
江口祐子

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