しつけや教育、受験などのノウハウや体験談が書かれたいわゆる「子育て本」が今人気です。親戚や近所付き合いの中から子育てを自然に学ぶことができた昔と違い、核家族で育った親にとって、これらの本から知識や情報を得ることは日々の子育ての大きな頼りになります。子育て情報誌「AERA with Kids」(朝日新聞出版)の編集を12年経験した同誌元編集長の江口祐子さんは、新刊『子育て本ベストセラー100冊の「これスゴイ」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)の中で、子育て本に書かれているエッセンスを紹介しています。新年度・新学期を迎えたいま、江口さんが親に伝えたいアドバイスとは――。

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 これまで、教育者、起業家、子育て経験のある母親たちが書いた子育て本、教育書を何百冊と読んできました。今回、本を書くにあたって改めていろいろな子育て本を読み直してみましたが、「あの時、ああすればよかったな」「こんなふうに親から言われたかったな」と自分自身の子ども時代を思い返すこともたくさんありました。

 特に中学・高校時代、みんなと一緒にいることがあまり好きでなかった私は、友だちが多いほうではありませんでした。そんな私にとって新学期は1年のうちで最もドキドキする時期。人間関係がリセットできるので、その面ではうれしいのですが、必要以上に群れたがる子、リーダーになってクラスを支配したがる子と同じクラスになってしまった時はガッカリ。暗い気持ちで新学期をスタートしたものです。

「一年生になったら」の歌にある「友だち100人できるかな」に象徴されるように、日本の社会では友だちをたくさん作ることがよし、とされる風潮が強いです。それが行き過ぎると、「友だちの中で浮かないように」「いかにみんなに合わせるか」ばかりに気を使うことにもなりかねません。

 そうならないためには、親が「みんなと一緒でなくてもいい」という価値観を子どもに教えてあげるべきでしょう。今はだいぶ「個性」が重要視される時代になりましたが、子育てをしている中で、親自身が「みんなと一緒」を求めてしまう場面も多いような気がします。

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江口祐子
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