※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 がんの3大療法の一つである放射線治療は、その機器や技術の進歩によってさまざまながんに対象が広がっている。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数・治療数の多い病院をランキングにして掲載している。ここでは、「婦人科がんの放射線治療」の解説記事とともに、婦人科がんに対する放射線治療患者数が多い病院を紹介する。

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 婦人科がん(子宮頸がん、子宮体がん、膣がん、卵巣がん)の中で、標準的に放射線が治療に使われているのは、子宮頸がんだ。頸がんのほとんどは扁平上皮がんというタイプで、放射線が効きやすい。

 子宮頸がんのI期とII期の標準治療は、手術または放射線治療、III期とIV期は放射線治療に抗がん剤を併用する「化学放射線療法」が推奨されている。国立がん研究センター東病院の秋元哲夫医師は言う。

国立がん研究センター東病院 放射線治療科長 秋元哲夫医師
国立がん研究センター東病院 放射線治療科長 秋元哲夫医師

「I期、II期では手術と放射線の治療成績はほぼ同等であると多くの研究で示されています。また、子宮頸がんは局所で進行しても遠隔転移を起こしにくい。IV期の中でも遠隔転移がないIVa期であれば、化学放射線療法で根治が期待できます」

 子宮頸がんの放射線治療は、外部照射と腔内照射の併用が標準だ。腔内照射は、子宮内に直接線源を入れて治療する。

「外部照射だけで根治させようとすると高線量が必要で、隣接する膀胱や直腸に障害が出てしまいます。原発巣は腔内照射で叩き、リンパ節も含めた周囲への広がりは外部照射でカバーすることで、周囲への障害を抑えながら効率的にがんを治療することができます」(秋元医師)

 また、外部照射では高精度照射のIMRTを使う病院が増加。腔内照射にも、CTなどの画像から線源と病巣、正常臓器の位置関係を正確に把握する「3次元治療計画」が導入されるなど、さまざまな技術で副作用は軽減できるようになっている。

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放射線治療という選択肢を提示されないケースも