プロ入り6年目の飛躍が期待される広島・床田寛樹(写真提供・広島東洋カープ)
プロ入り6年目の飛躍が期待される広島・床田寛樹(写真提供・広島東洋カープ)

 パ・リーグでは山本由伸(オリックス)、セ・リーグでは森下暢仁(広島)など順調にエースへの階段を上る選手がいる一方で、球団からもファンからも期待度は高いもののなかなか殻を破ることができない投手は少なくない。しかし、何かのきっかけで一気にブレイクする選手も確かに存在している。今回はそんな“万年エース候補”から脱却の兆しを見せている投手をピックアップして紹介したいと思う(成績は4月10日終了時点)。

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 開幕6連勝と順調なスタートを切った広島。近年は外国人選手のジョンソンを除いて常に左のエースが不在と言われてきたが、ようやくその穴を埋める存在になりそうなのがプロ入り6年目の床田寛樹だ。ルーキーイヤーにいきなり開幕ローテーション入りを果たしたものの、シーズン途中にトミー・ジョン手術を受けて長期離脱。2019年に復帰した後もそれなりの成績は残しているが、一度も規定投球回数に到達していない。しかし昨年は夏場以降に調子を上げると、9月にはプロ初完封をマークするなど好成績を残して月間MVPを受賞した。

 今年も最初の登板となった3月30日の阪神戦で7回1失点の好投で勝利投手となると、続く4月6日の巨人戦でもチームは逆転負けを喫したものの7回を無失点と見事なピッチングを見せている。昨年シーズン途中に肘の位置を修正したことでボールに角度が生まれ、軽く投げているようでも140キロ台後半をマークするストレートの威力も申し分ない。チームは冒頭で触れた森下以外にも大瀬良大地、九里亜蓮と右の先発は力のある投手が揃っているだけに、床田がそれに続く存在となればリーグでもトップの先発ローテーションとなる可能性も高いだろう。

 セ・リーグで万年エース候補という言葉が定着してしまっている感があるのが原樹理(ヤクルト)だ。昨シーズンまでの通算成績は19勝36敗と大きく負け越しているものの、それでも先発として起用され続けているところにチームからの期待の大きさがよく表れている。過去2年間は登板機会を大きく減らしていたが、今年はキャンプから順調に調整を続けて先発ローテーション入りを果たすと、2戦目の登板となった4月8日の巨人戦では7回途中まで投げて2失点の好投で今季初勝利をマークした。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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パ・リーグで期待の投手は?