迎えてしばらくケージで過ごした双樹(左)と沙羅(提供)
迎えてしばらくケージで過ごした双樹(左)と沙羅(提供)

 飼い主さんの目線でのストーリーを紡ぐ新連載「猫をたずねて三千里」。今回は、北海道在住の30代の会社員、ゆりさんに愛猫のお話を伺いました。夫婦共に猫好きで、2年前に猫のために家を買い、多頭崩壊現場から救出されたキジトラの兄弟を迎えました。兄弟は人嫌いで超がつく怖がり。やっと家に慣れたと思ったら、1匹が病気になって……。若くして、とつぜん天に昇った“忘れ得ぬ”大事な猫のお話です。

人は嫌いニャ。警戒する双樹(提供)

 *  *  *

 私も夫も猫が大好きで、実家でも多くの猫と暮らしてきました。「結婚したら猫を飼いたい」と思い、結婚2年後の2020年秋に家を買いました。そのすぐ後に念願の猫との生活が始まったのですが、1年足らずの間に目まぐるしく色々なことが起きました……。

 今回、主にお話したいのは、多頭崩壊現場から保護された「沙羅」と「双樹」というキジトラの兄弟のことです。

  新居に引っ越す前に保護団体の方のブログで沙羅を見つけて、「可愛い」と思いました。

 夫はブログをみて、兄弟の双樹も気になったようです。面談は私1人で行ったのですが、2匹の写真を撮ってきて家で夫に見せると、「せっかくだから兄弟一緒に迎えたいね」ということになり……。12月に2匹そろって家にきました。

  迎えた時、兄弟はすでに1歳を超えた成猫でした。

 それまで誰にももらわれなかったのは、“人嫌い”のせいかもしれません。ボランティアさん宅で最初に会った途端、私も「シャーシャー」されていました。でも気になりませんでした。可愛いし、むしろこれからの変化が楽しみだ、なんて思ったものです。

  そうはいっても、やはりすごく嫌われて(笑)。

 うちでは、この2匹とほぼ同時期に「ルネ」というメスの子猫も迎えたのですが、ルネの存在がかすれるくらい、沙羅と双樹の(私たちへの)威嚇がすごかった。それで、環境に慣れるまで、しばらく2階に置いたケージの中で、2匹で過ごしてもらうことにしました。

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水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

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予想以上の“戦闘モード”