市川海老蔵(左)と小林麻耶
市川海老蔵(左)と小林麻耶

 3月から突如始まった、フリーアナウンサー・小林麻耶(42)によるブログやYouTubeでの告発騒動。妹・小林麻央さん(享年34)の夫である歌舞伎役者の市川海老蔵(44)に関する金銭トラブルや女性関係、麻央さんの生前の苦悩などについて次々と情報を発信しているが、実は今回の騒動は海を超えて、お隣の中国でも大きく報じられている。

【写真】最愛の妹・小林麻央さんを失って

 中国大手メディア「新浪娯楽」(3月28日)は、『市川海老蔵、小林麻耶の暴露によって愛妻家のイメージ崩壊』と報道。記事ではこれまでの経緯として、結婚前から多くの女性芸能人と浮名を流してきた海老蔵のモテっぷりを解説。そして小林麻耶による暴露について触れ、「海老蔵は闘病中の妻の病室で競馬新聞を見ていた」「麻央さんが離婚を希望していた」「亡くなった妻の名前を使い話題作りをしていた」などのエピソードや、『女性セブン』が報じた、最近の海老蔵の複数女性との交遊も併せて紹介された。

 中国でも日本の伝統芸能である歌舞伎は人気で、2015年には北京で両国の伝統芸能交流の一環で京劇と歌舞伎の合同公演が行われている。海老蔵は成田屋の継承者でもあり、その端正なルックスから中国でもファンは少なくない。しかし、今回の報道では中国国内でも多くのユーザーが批判的なコメントをしている。

「麻央のような純粋で美しい女性があんなつらい思いをしていたなんて」

「小林麻耶の心の傷を誰か癒やしてあげてほしい」

 小林麻耶に対しては同情的な声が多数を占める一方で、海老蔵を擁護する意見はほとんどなく、「渣男(クズ男)」とこき下ろすコメントも多くみられる。日本では暴露する麻耶についても、一部で批判の声があがっているが、中国では状況が異なるようだ。

 こうした背景には、近年の中国社会や芸能界の変化が関係していると見る向きもある。中国事情に詳しいライターの広瀬大介氏は言う。

「2018年頃から中国版『♯Me Too運動』が高まったこともありますが、中国共産党宣伝部は昨年から芸能人に対し締め付けを行っており、メディア出演には厳しい基準を設けました。『道徳意識の欠如』が認められた芸能人は、一切の芸能活動が禁止されるようになったのです。昨年、元EXOメンバーで中国トップ男性アイドルだった呉亦凡(ウー・イーファン)が性的暴行容疑で拘束されたり、“ピアノ王子”の愛称で知られる中国人ピアニストの李雲迪(リ・ユンディ)が買春容疑で逮捕されており、著名人の“道徳意識”には厳しい目が向けられています。李雲迪は中国人初となるショパン国際ピアノ・コンクールで優勝し、世界的に活躍していただけに多くの中国国民がショックを受けました」

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山重慶子

山重慶子

神奈川県生まれ。大学卒業後、中国・上海へ留学。現地でフリーペーパーの編集者となり、帰国後は主に中国や台湾関連の原稿執筆・コンテンツ制作を行っている。

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中国政府による「ガス抜き」