1992年より大人計画に参加。以降、舞台、テレビ、映画と活躍の場を広げている。
1992年より大人計画に参加。以降、舞台、テレビ、映画と活躍の場を広げている。

――松尾さんとの距離感はどうですか? 昔は怖い印象もあったような気がしますが。

阿部:優しいと思いますよ、松尾さんは。昔は何度も怒られましたけど、それは僕がダメだったからなので。たぶん、そのうち諦めてくれたんでしょうね。僕や皆川くんがあまりにも出来ないから、「こいつらはしょうがない」って。……今思い出しましたけど、昔は劇中でかける音楽をカセットデッキで流していて、それを新人の役者が管理してたんです。家に持って帰って、稽古場に持ってくるんですけど、宮崎吐夢(大人計画)がカセットデッキを壊しちゃったことがあるんですよ。そんな人が今や、立派になっちゃって。

――今度の「ドライブイン カリフォルニア」には麻生久美子さん、谷原章介さんなどに加え、大人計画のみなさんも出演します。気心が知れた仲間と一緒だと、やっぱり安心感があるのでは?

阿部:大人計画の人たちとは付き合いが長すぎて、最近は稽古を見せるのが恥ずかしいんです(笑)。「ドライブイン カリフォルニア」は僕と麻生さんの芝居から始まるから、稽古の初日も、最初にセリフを言うのは僕じゃないですか。それをあいつらに見せるのが……。「初日、どういうジャージを着てくるか?」とか「パンフレットの撮影のときのTシャツは?」とか、そういうことも気になるし。

――(笑)。稽古初日は、やっぱり緊張がある?

阿部:ありますね。台本を持ってない人がいると、「もう覚えてるんだ」って(笑)。今回は再再演だから、松尾さんにも「DVDで予習してきて」って言われてるんですよ。

――しかも主演ですからね。

阿部:そうですね。初演は徳井優さん、再演は小日向文世さんだったんですけど、どちらも大人の役者だったし、「落ち着いてるな」という印象で。自分もそういう年齢になったのかなと。ただ、松尾さんが演出する舞台はいちばん自分が出せるんですよ。他の舞台ではちょっと気取ってますよ、僕は(笑)。

――阿部さんが松尾作品に出演するようになって、25年以上。松尾さんの舞台の面白さはどんなところにあると思いますか?

阿部:共感できるところ、できないところの幅の広さがすごいですよね。あと、「いちばん怖いのは人間だよね」という感じはずっとあると思います、松尾さんの芝居には。悲しいことや怒りになりそうな場面を笑いに変えてしまう能力もすごいなと。相変わらず、まったく理解できないところもあるんですけどね。

(森朋之)

阿部サダヲ(あべ・さだを)/1970年生まれ。千葉県出身。1992年より大人計画に参加。同年、舞台「冬の皮」でデビュー。以降、大人計画の舞台以外にも、さまざまな舞台、テレビ、映画に活躍の場を広げている。2008年に映画「舞妓Haaaan!!!」にて日本アカデミー賞優秀主演男優賞、 2018年に映画「彼女がその名を知らない鳥たち」にてブルーリボン賞主演男優賞を受賞。2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」では主人公の“田畑政治”を熱演した。また、パンクコントバンド「グループ魂」では“破壊”の名でボーカルを務める。2022年5月より、再再演となる舞台、日本総合悲劇協会Vol.7「ドライブイン カリフォルニア」に出演が決定している。

日本総合悲劇協会Vol.7「ドライブイン カリフォルニア」特設サイト

https://otonakeikaku.net/2022-drivein/

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