中日・落合博満監督
中日・落合博満監督

 毎年プロ野球選手の高年俸ランキングが話題を集める一方で、監督の年俸がクローズアップされる機会は意外に少ない。今季は巨人・原辰徳監督の2億円がトップ。阪神・矢野耀大監督ら5人が1億円、6~8000万円が6人で、1人平均9500万円という計算になる。それでは、これまでに最も給料を貰っていた監督は誰か?高年俸だった歴代の監督が給料に見合う成績を残せたかどうかも含めて振り返ってみよう(金額はいずれも推定)。

 NPB史上最高額は、ロッテ、ボビー・バレンタイン監督の5億円だ。

 2004年、9年ぶりにロッテに復帰したバレンタイン監督は、年俸3億円の3年契約を結んだが、翌05年にチームが31年ぶりの日本一を達成すると、その手腕を評価され、監督では歴代トップとなる年俸5億円の4年契約を結び直した。

 ただし、当時は年俸3億5000万円の3年契約と報じられており、後に5億円の4年契約だったことが明らかになる。こうした不透明性も、監督の年俸があまり話題にならない理由のひとつかもしれない。

 球団から「半永久的に監督をやってほしい」と最大級の好意を示されたバレンタイン監督だったが、06年以降、チームは1度も優勝することができず、06年と08年には4位に終わるなど、高年俸に見合う成績を残すことができなかった。

 08年シーズン中には、「球団代表から辞任勧告を受けた」のバレンタイン発言により、フロントとの対立も表面化。シーズン終盤まで尾を引いたゴタゴタは、CS進出を逃す一因にもなった。

 そんな騒動の余韻も覚めやらぬ同年12月21日、球団は突然バレンタイン監督の翌09年限りでの退任を発表。総額30億円を超える赤字対策から5億円の年俸が真っ先に削減対象になった形だが、契約満了とはいえ、シーズン開幕前に監督の退任が決まるのは、異例の事態だった。

 寝耳に水の通告に、「正直言って驚いた。ロッテにとって最善になるなら賛同する。(来季も)全力を尽くす」と最後の意地を見せようとしたバレンタイン監督だが、ラストシーズンは、球団のバックアップを十分に受けられない敗戦処理的扱いのなか、最もコストに見合わない5位に終わっている。

 高年俸も結果が伴わなければ、進退問題に直結するという意味では、監督は選手より厳しい立場と言えるだろう。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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「契約書どおり。そういう世界だ」