”史上最強”の強肩外野手と呼ばれる羽生田忠克氏(提供)
”史上最強”の強肩外野手と呼ばれる羽生田忠克氏(提供)

 オリックスとの初戦(4月1日)に敗れた、ビッグボス・新庄剛志監督率いる日本ハム。ファンは2勝目が待ち遠しいだろう。

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 新庄監督より7歳上で、現役時代が重なる元西武の強肩外野手・羽生田忠克氏はビッグボスの現役時代を、こう振り返る。

「新庄は現役時代、強肩の外野手でね。そんなにきれいな投げ方をしているわけではなかったけれど、腕の振りが強かった。だから凄い豪速球が外野から返ってきたものです」

 そう話す羽生田氏も、“プロ野球史上最強”などと呼ばれた強肩外野手として知られる。「強肩の外野手」が新庄氏と羽生田氏をつなぐキーワードだ。

「私なんか肩と足だけで生き抜いたような選手なんです。でもビッグボスは、また違うスター選手だった。バッターとして記憶に残っているのは、彼が敬遠の球を打っていたこと。普通の選手は、敬遠のボールなんて打たないですよ。そこを打っていた。いい意味で普通とは違っていた」

 新庄監督は昨年の就任会見で、ビッグボスというネーミングにした理由について「(引退して長年暮らしていた)インドネシア・バリ島の方でビッグボスと呼ばれていた。僕の人生ってそんなもんなんですよ。その時、その時、カンピューターでこういうものにしたいというものに突き進んでいるだけなんで」と答えた。

 采配について「行き当たりバッタリ」との批判もあるが、羽生田氏は「それはそれでいいのではないか」と言う。

「試合の流れをみながら、監督がカンをはたらかせて采配することはもっともだと思いますよ。野球にはセオリーというのがあってね。『この場面、セオリー通りなら…』というのがある。でも、結局、相手チームもデータを持っているんだから、セオリー通りやっていたら勝てない。たとえば、ここでヒットエンドランという場面では、相手も同じことを考えるわけですからね。“まさか、ここで、えっ?”という采配の方が、相手チームもお客さんもビックリする」

 3月31日、5連敗から開幕6戦目で待望の1勝をつかんだ日本ハム。矢野燿大監督率いる阪神は球団ワーストの開幕6連敗。矢野監督とどん尻を競っていたが、新庄監督の方が初白星をあげるのは早かった。1勝した試合の後、新庄監督は興奮気味に「リーグ優勝したみたい」といい、意外にも「勝ち負けというより、今のファイターズは経験を積み重ねて日々成長していくというチームなので、勝ち負けという意識はそんなにない」と語った。勝ち負けにこだわっていない采配は開幕から随所に見られている。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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