安倍晋三元首相
安倍晋三元首相

 久しぶりに自民党安倍晋三元首相が国際的に注目されている。

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 安倍元首相は3月22日、超党派の国会議員でつくる日華議員懇談会の総会で、台湾の蔡英文総統とオンライン対談に臨んだ。参加していた自民党の国会議員はこう語る。

「対談はまったく知らされておらず、サプライズでした。ウクライナ侵攻で国際情勢が微妙な時期に安倍氏もよくやったなと思った」

 日華議員懇談会の顧問として名を連ねる安倍氏は対談でこう述べた。

「久しぶりに蔡英文総統のお顔を拝見し、お話しすることができ大変うれしく思います。サプライズとして総統とウェブでおめにかかることにいたしました」

 すると、蔡英文総統も「ありがとうございます。安倍元首相とこのように意見交換する機会がいただけることは願ってもないことです」と応じた。

 続けて「コロナ禍の最中、台湾は日本からたくさんのワクチンを送っていただき、その後オミクロン株による感染拡大もコントロールでき、台湾全体の感染症は今のところ安定して抑え込むことができた」と感謝の意を示した。

 そして、蔡英文総統はウクライナ情勢に触れ、安倍氏にこう切り出した。

「ここにきてウクライナ情勢は極めて厳しい状況にあり 国際社会全体が高い関心を払っています。ウクライナの人々が自分の国と自由、民主のために戦う、決心は世界を感動させている。台湾人にとっても他人事ではありません」

 大国、ロシアによるウクライナ侵攻は、武力による現状変更を迫るものだ。東アジアで最も懸念されているのが、台湾有事だ。大国、中国がロシアと同様の行動を台湾に起こす可能性があることを懸念しての、蔡英文総統の発言だ。

 ウクライナ情勢に対して安倍氏は厳しくロシアをこう非難した。

「総統が触れられたウクライナ情勢についてはロシアの侵略であり、私たちが築いてきた、国際秩序に対する深刻な挑戦です。日本は国際社会とともにロシアがただちに停戦し、手を引くように圧力をかけなければなりません」

 そして台湾有事まで踏み込んで、こうも話した。

「昨年、私は台湾のシンクタンクでのシンポジウムで台湾有事は日本有事であり日米同盟の有事であると申し上げた。これは私の危機感の表明でもありました」

 安倍氏は昨年12月、台湾のシンクタンクが開催した講演で「台湾有事は日本有事。すなわち日米同盟の有事でもある。この認識を習近平主席は断じて見誤るべきではない」と話している。

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安倍氏と蔡英文総統の対談に不快感を示した中国