巨人・坂本勇人
巨人・坂本勇人

 巨人坂本勇人が21日の練習中に負傷し、「左内腹斜筋の筋損傷」と診断されたとことが判明した。25日の開幕戦・中日戦(東京ドーム)を欠場する見込みになり、高卒2年目の08年から昨季まで14年連続で続けていた開幕スタメンも途切れることとなった。替えの利かない選手だけに、開幕からの戦線離脱は大きな痛手だ。

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「腹斜筋の筋損傷は全治1カ月かかると言われています。患部の回復次第ではもっと時間がかかることも想定しなければいけない。遊撃手の代役は廣岡大志、湯浅大、若林晃弘になりますが坂本の抜けた穴は大きい。戦力としてだけでなく、精神的支柱としてナインに与える影響力も計り知れない。戻ってくるまでは全員でカバーするしかないですね」(スポーツ紙記者)

 今年のセリーグは混戦が予想される。リーグ連覇を目指すヤクルトだが、投手陣は先発に不安を抱えている。昨季は2ケタ勝利を挙げた投手がゼロ。奥川恭伸、小川泰弘がチームトップの9勝をマークしたが、絶対的エースがいない。昨季フル回転した救援陣の疲労も気になるところだ。阪神は先発陣がリーグ屈指の陣容だが、守護神・スアレスの抜けた救援陣が懸念材料だ。今年は延長12回制のため救援陣の出来が勝負を大きく左右する。打線は昨季終盤に貧打で苦しんだように破壊力があるわけではない。中日は得点力不足の打線、DeNAは先発のコマ不足が深刻な投手陣の問題が解消されていない。広島も不動の4番だった鈴木誠也が抜けた穴は大きい。

 各球団の状況を見ると、選手層が厚い巨人を優勝候補に挙げるプロ野球解説者は少なくない。確かに混戦になれば、経験豊富な選手が多いため勝ち切る術を知っている。ただ不安材料も少なくない。

「絶対的エースだった菅野智之の存在感が薄れている。まだ調整段階ですが、オープン戦の投球を見ても不安が残りました。ドラフト3位の赤星優志、堀田賢慎、山崎伊織が先発ローテーション入りしましたが、1軍での実績はなくどこまで持つか未知数です。彼らが下降線をたどった時に、穴埋めする先発の層が薄いのも気がかりです。打線も坂本不在の状況で不動のレギュラーと言えるのは4番の岡本和真ぐらい。巨人は優勝候補ですが、今年はどの球団が頂点に立っても不思議ではない。開幕ダッシュに失敗するようだと立て直せずに最下位に沈む恐れもある。今年のペナントレースは予測が難しいです」(スポーツ紙デスク)

 負のスパイラルに陥れば、抜け出すのはなかなか難しい。リーグ3連覇を目指した昨季はヤクルト、阪神と優勝争いの好位置につけていたが、9月以降に10勝25敗8分と大失速。引き分けを挟んで10連敗の屈辱を味わい、3位に終わった。

 不安要素は坂本の戦線離脱だけではない。リードオフマンの最有力候補だった松原聖弥が精彩を欠き、1番打者が固まらない。昨季の守護神・ビエイラもオープン戦で結果を残せずに開幕2軍スタートになった。

 百戦錬磨の原辰徳監督は今年で球団史上最長となる通算16年目のシーズンを迎える。V奪回に向け、どのようにタクトを振るうか注目される。(安西憲春)