岸田首相と安倍元首相、麻生副総裁
岸田首相と安倍元首相、麻生副総裁

 二階氏の健在ぶりは今も変わらないという。だが、昨年10月の衆院選で、所属議員が10人減り、さらに2月には片山さつき元地方創生担当相の退会問題で、泥仕合が報じられるなど二階氏が求心力を失っていたのも事実。現在、二階派の所属議員43人は岸田派にも抜かれ、党内では5番目の派閥に甘んじる。

「派内では当初、菅氏の派閥と連携でよいとの見方でした。昨年の総裁選で自派から首相、総裁候補が出せなかったことが非主流派に転落した要因の一つです。そこで菅氏やそのグループも引っ張って、そして関係が深い森山派も加えて二階派を中心とした、大きな派閥を作って、数でも岸田首相安倍派など主流派と対抗しようという考えです。菅氏にとっては、再登板の目も出てくるので、お互いにメリットがある」(前出・二階派の国会議員)

 麻生派から佐藤勉前総務会長をはじめ4人が退会し、菅氏のグループに加わるとみられ、派閥化への準備が着々と進む。

「春くらいには、勉強会を立ち上げて、時期をみて派閥になると思う。麻生派をやめた佐藤氏が派閥を仕切るのではないかとの声がある。一方で二階派との合流という人もいる」(菅氏のグループの国会議員)

 菅氏のグループは衆参で30人ほどとみられる。そこに二階派の43人、森山派の7人が加わると、70人から80人規模の派閥となり、安倍派に続く党内第2派閥に浮上する。二階氏と菅氏は公明党と太いパイプもある。

 夏の参院選を控え、公明党との「相互推薦」がギクシャクする中、岸田首相は、菅氏の元を訪ねて自公関係の修復について、協力を依頼している。また、二階派の中ではこんな話もあがっているという。

「二階派は負け組といわれるが、裏で二階氏が動き、昨年10月の衆院選で37人まで減ったが今は43人にまで盛り返している。麻生派から佐藤氏らが抜けてきた。昨年の総裁選で麻生氏は自派の河野太郎氏を推さずに岸田氏支援を公言していた。菅氏は河野氏を重要閣僚で重用し、関係は非常にいい。菅氏のラインで河野氏を派閥に引き抜けないかというプランもある。そうなれば、河野氏という最高の首相・総裁候補を派閥で立てることができる」(別の二階派の国会議員)

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キングメーカーの安倍元首相の動き