菅前首相と二階元幹事長
菅前首相と二階元幹事長

 東京都内の日本料理店に3月15日夜、集まったのは、菅義偉前首相と二階俊博元幹事長、そして林幹雄元幹事長代理、森山派(旧石原派)の森山裕会長の4人。二階派の国会議員はこう語る。

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「参院選での自公の選挙協力でもめていることで、意見交換したと聞いているけど、それを信じる人はいませんよね、このメンバーですから。二階氏の逆襲がはじまったのではと、派内では言われている」

 この会合に神経をとがらせるのが、岸田文雄首相や最大派閥、安倍派会長の安倍晋三元首相らだ。

「政治は数が力の源泉。非主流派が大きな塊になるのは看過できない」と安倍派の国会議員は警戒感をにじませる。

 岸田政権になり、政権の中枢から非主流派に転げ落ちた菅氏と二階氏。

「2020年9月、菅氏が首相の座を手中にした。二階氏、林氏、森山氏との会談で自民党の総裁選出馬への支持が得られたことで勢いがつき、決断したからです。もう一度という思いがあるのではないか」(自民党の閣僚経験者)

 菅氏は自らの派閥を持たなかったことが一因で、昨年10月の自民党総裁選では十分な支持が得られないと出馬を断念に追い込まれた。岸田政権となって以降、何度も自身が主宰する「ガネーシャの会」を中心とした「菅派」の結成が噂にのぼっていた。

 そこに二階派や森山派が加わるのではないかと、15日の会合からささやかれるようになった。自民党で歴代最長となる5年2か月、幹事長として豪腕をふるった二階氏。

 幹事長を去ってからも、自民党本部の「国土強靭化推進本部」の部屋に毎日、通う。2月に部屋を訪れた二階氏の地元、和歌山県の支援者はこう語る。

「幹事長時代と同様に、官僚、議員、業界団体などいろいろな方々が部屋で順番待ちをして、外にまで人があふれていた。機嫌がいい時は、予定時間をオーバーしても、選挙から政局、予算に陳情まで話し込むそうです。私が訪ねた時も、かなり時間を過ぎても地元の話で盛り上がった。参院選も二階氏独自の見立てを披露していた」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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