日本ハムの清宮幸太郎
日本ハムの清宮幸太郎

 日本ハム・清宮幸太郎が開幕前に打撃フォームの大幅改造を敢行した。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 3月20日のDeNA戦戦に途中出場すると、5回の打席で以前までのオープンスタンスからスクエアになり、リラックスした立ち姿に。手首を動かしてバットのヘッドを大きく揺らす動作も消えた。四球を選ぶと、7回無死一塁で左腕・砂田毅樹の内角に入ったスライダーを右翼線にはじき返す二塁打。11日の広島戦以来11打席ぶりの安打に、塁上で安堵の表情を浮かべた。

 この試合前の練習で新庄監督と稲葉篤紀GMが約30分間、清宮の技術指導に当たった。打撃フォーム改造の背景にはこの指導があったのだろう。スポーツ紙デスクは「清宮の変化」を指摘する。

「今までだったら腰が回り切らずポップフライか空振りしていたでしょう。あの打席は両腕をたたんでうまく対応していた。稲葉GMの現役時代を彷彿とさせる打ち方でした。追い込まれるまでは荒々しくフルスイングしていましたし、打席の内容が良かったです。開幕1軍に間に合うかどうかわかりませんが、目先の結果を求めず、今の打撃フォームで基盤を固めた方がいい。素材は間違いなくいいんですから」

 この試合まで、清宮は精彩を欠いていた。直近のオープン戦6試合で8打数無安打。5三振と内容も悪く、「2番・一塁」で先発出場した19日のDeNA戦で2打席連続空振り三振に倒れると、4回終了後に途中交代を告げられた。昨年の秋季キャンプで新庄剛志監督から減量指令を受けて、103キロから9キロ減の94キロと体を絞った。今年にかける思いが伝わってきた指揮官は大喜びだったが、肉体改造で結果がすぐに出るほど甘い世界ではない。

 早実時代から清宮を取材してきたスポーツ紙記者はこう分析する。

「頭が前に突っ込み、軸足が使えていないから変化球に泳がされる。変化球を過剰に意識するあまり、直球も差し込まれるという悪循環です。清宮は早実の時から上体が前に突っ込む悪癖がありました。早実の時は本塁打を量産していましたが、一線級の投手に対しては変化球の対応には苦心していた。下半身が使えず衝突するような打ち方なのでボール球を見極められない。ここ数年は持ち味である長打と確実性を磨くことのどちらにウエートを置くか迷いが見られた。あの打ち方では甘く入った変化球のすっぽ抜けしか打てない。長打か確実性を磨くかで悩む以前の問題で、高校時代の打撃は捨てた方が良いと思います」(スポーツ紙記者)

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