オープン戦で好調を維持している日本ハムの万波中正(写真提供・北海道日本ハムファイターズ)
オープン戦で好調を維持している日本ハムの万波中正(写真提供・北海道日本ハムファイターズ)

 近年の高校野球で最も盛り上がりを見せたのはやはり2018年ではないだろうか。夏の甲子園大会は大きな節目となる100回目を迎え、吉田輝星(金足農→日本ハム)による“金農フィーバー”は秋田や東北だけでなく全国を熱狂させた。そしてそれを打ち破って史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭も根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)を中心にスター揃いであり、歴史に残るチームだったことは間違いない。

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 この年のドラフト会議でもその影響は強く出ており、吉田は外れ1位だったものの、最初の入札で11球団が根尾(4球団)、藤原(3球団)、小園海斗(報徳学園→広島・4球団)の3人を指名している。

 しかし、あれから3年が経った現在、プロでの実績を見ると投手では3年夏に甲子園出場を逃した戸郷翔征(聖心ウルスラ→巨人・2年夏に甲子園出場)、野手は小園が一歩リードしている状況だが、それに続く存在となっているのは決して吉田、根尾、藤原ではないというのが現状である。今回はそんな今年ブレイクが期待される“ミレニアム世代”の選手をピックアップしてみたいと思う(オープン戦の成績は3月16日終了時点)。

 まず投手では渡辺勇太朗(西武)を挙げたい。浦和学院では3年夏に甲子園出場を果たしたが、準々決勝で根尾と藤原にホームランを打たれて大敗を喫している。それでも高い潜在能力が評価されてドラフト2位で西武に入団。最初の2年間は二軍暮らしが続いたが、3年目の昨年は夏場以降に先発ローテーション入りすると、17試合に登板して(先発は9試合)4勝4敗、防御率3.44とまずまずの成績を残した。191cmの長身に見合うだけの筋肉がついたことでスピードもコンスタントに140キロ台後半をマークするようになり、カットボールやスプリットなど変化球も着実にレベルアップした印象だ。オープン戦でもここまで2試合に先発していずれも試合を作っており、開幕ローテーション入りの可能性も高い。高橋光成、今井達也に続く高校卒の本格派右腕であり、近い将来チームの投手陣を背負って立つ存在となることも期待できる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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