キッチンドランカーから依存症気味になってしまう女性もいる。写真はイメージ(PIXTA)
キッチンドランカーから依存症気味になってしまう女性もいる。写真はイメージ(PIXTA)

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、人との交流が減って孤独感にさいなまれ、酒量が急増してしまう人が後を絶たない。また、アルコール依存症患者の中には、断酒するための自助グループの仲間に会えなくなり、さみしくなって酒に手を出してしまった人もいるという。専門医らは「依存症は『孤独の病』。依存行動は『孤独の自己治療』と言われるほど、孤独と密接に関係している。飲み方が気になったら、まずは気軽に相談を」と呼びかける。

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「自分の飲み方が怖くなってきました」と話すのは、最近、アルコール依存症の治療を行っている医療機関に、受診すべきかを相談した千葉県の40代主婦・Aさんだ。

 Aさんは2児の母で、夜は料理を作りながら缶チューハイを飲むいわゆる「キッチンドリンカー」だが、ここ数カ月で極端に量が増えた。

 Aさんはコロナ禍が続く状況でも、年の近いママ友と感染に気を付けながら公園で話をしたり、お茶をするなどして交流を保ってきた。だが、オミクロン株の感染拡大で、そのママ友と子どもが感染したため、今年に入り対面を自粛したという。

「もともと地元ではないので、話せる人がほとんどいません。世間話や育児のことなど、同性の友達に聞いてもらいたいこともあって、話すことでなんだかんだ気が晴れていたんだと思います。それがなくなってから、何かさみしくなったり、ちょっとしたことでイライラしたり、気づいたらお酒の量が増えていました」

 安く手軽に酔えるからと、500ミリリットルでアルコール度数9パーセントのストロング系を好んでいたが、日に1缶だったのが、今では料理中だけでなく風呂上がりにも飲むようになり計4~5缶になった。

 生活習慣病のリスクを高める「純アルコール量」(お酒の量×アルコール度数/100×0・8)の基準は、女性は20グラム以上とされているが、9パーセントのストロング系500ミリリットルなら1缶で純アルコールは36グラムと、その水準を超している。二日酔いで後悔しても、夕方になるとまだ飲みたくなる日々が続く。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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依存症は「孤独の病」と呼ばれる