コロナ感染が急拡大するなかで実施された今年の中学入試ですが、受験者数・受験率ともに8年連続での上昇となりました。安全志向が働き、中堅上位から下位校のボリュームゾーンで受験者数が増加しましたが、「御三家」と呼ばれる難関校や、人気の大学付属校はどうだったのでしょうか。※本文中の志願者数はのべ志願者数(応募者数)

MENU ■追試のために開成にダブル出願する人も ■日大系の付属校は失速 ■注目は理系大学の付属校

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 森上教育研究所代表の森上展安さんは、「難関校は通常、広域から志願者が集まるのですが、コロナ禍で遠距離移動を回避するような状況下では、中堅校に比べて志願者数が伸びにくい」と話す。また難関校には、1年おきに増減を繰り返す、隔年減少が見られるという。

 今年の男子難関校の注目は武蔵(東京都練馬区)だ。584人から640人と増やしている。サピックス教育情報センター本部長の広野雅明さんは、その理由をこう話す。

「2019年に就任した杉山剛士校長は、埼玉のトップ公立校・県立浦和高校の校長を務めた経験があり、大学進学に良い結果を出してくれるのではないかと期待されています。また武蔵学園の広報が力を入れ、中高の魅力の発信に努めている。さらに田中愛治・早稲田総長、五神真・前東大総長など、OBがアカデミックの世界で活躍している影響も大きいと思います」

 開成(東京都荒川区)は1243人から1206人と微減。昨年減少した麻布(東京都港区)は、881人から934人と増加に転じた。逆に昨年増加した駒場東邦(東京都世田谷区)が、645人から565人に減らした。昨年新理科館が完成した海城(東京都新宿区)は1998人から2060人に伸長した。

 今年、男子御三家のなかで、開成の入試当日の欠席者が他校に比べてやや多かったという。その理由を広野さんは「御三家のなかで、唯一開成だけがコロナ感染者や濃厚接触者のための追試を設けていたことも理由の一つ」として、こう説明する。

■追試のために開成にダブル出願する人も

「開成以外の難関校を第1志望とする受験生が、万が一試験日前にコロナに感染するなどして第1志望を受けられなかった場合には開成を追試で受験しようと、第1志望と開成にダブル出願するケースもあったようです」

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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