伝統女子校の志願者数が増加傾向の理由とは?(写真はイメージです/GettyImages)
伝統女子校の志願者数が増加傾向の理由とは?(写真はイメージです/GettyImages)

 新型コロナの感染が急拡大する中で実施されたにもかかわらず、受験者数・受験率ともに8年連続での上昇となった今年の中学入試。倍率も上がり、受験生にとっては厳しい入試になったが、今年志願者数を伸ばしたのはどのような学校だったのだろうか。※本文中の志願者数はのべ志願者数(応募者数)

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 最近は午後入試を受ける受験生が増えている。

「午前は難関校、午後に併願校というパターンに加えて、共学校や一部の女子校には、午後入試が本命校という動きも見られるようになりました」(森上教育研究所代表の森上展安さん)

 今年は特に東京都と神奈川県で増加した。森上教育研究所の調べによると、午前入試を受けた受験生のうち、両都県で2月1日は3人に2人、2日は2人に1人が午前と午後の入試をダブルで受験しているという。コロナ禍で、早く合格を決めたいという受験生が多かったもようだ。

 また、サピックス教育情報センター本部長の広野雅明さんは、コロナ禍で午後入試を受験する人が増えている背景には、もう一つ要因があると分析する。

「女子校の中には筆記試験の後に面接を実施する学校が例年は多く、その場合は午後までかかるので午後入試を受けるのは難しかったのですが、今年も感染防止のために多くの女子校が面接を中止しました。そのため、午後入試を受けやすくなったようです」

 今年の入試で志願者が急増し注目された埼玉県。とりわけ増やしたのが、毎年受験生が1万人を超える栄東(さいたま市)だ。昨年の万全なコロナ対策も評判となり、志願者増につながったようだ。

「2021年度の1万240人から、22年度は1万2179人と、2000人近く増えており、首都圏では断トツです」(安田教育研究所代表の安田理さん)

 埼玉県で栄東に次いで志願者数が多い大宮開成(さいたま市)も、3316人から4436人と大幅に増加した。

■共学化・校名変更で志願者増

 近年、共学化して校名変更した学校も人気だ。昨年ブレークした広尾学園小石川(東京都文京区)は3801人から4047人へとさらに伸ばした。品川翔英(東京都品川区)は540人から1020人へ、光英VERITAS(千葉県松戸市)は890人から1524人へと大きく増加した。品川翔英は23年に新校舎が完成する予定で、ますます人気が上がりそうだ。東京都千代田区立麹町中学校の元校長で、公立中学の改革に手腕を発揮した工藤勇一氏が校長に就任して話題を呼んだ横浜創英(横浜市)も、551人から1162人へと倍増した。今年からスタートするサイエンスコースが注目されている。

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数年前に共学化した学校では男子の志願者が増