ヤクルトの村上宗隆
ヤクルトの村上宗隆

「今年は打率3割40本塁打100打点を狙う」。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 プロ5年目を迎える2021年のセ・リーグMVP・村上宗隆ヤクルト)の鼻息が荒い。思えばプロ1年目の「1軍初打席本塁打」デビューが、その後の村上のスラッガーとしての進化を予見させた。2年目に日本人記録のシーズン184三振を喫したが、全試合に出場した。3年目の20年に全試合四番打者に座り初めて3割をマークしたが、「優勝チームの四番打者になりたい」と語った。その思いは昨21年成就した。今度は「打率・278、39本、112打点」で初本塁打王に輝いた。今季はさらなるグレードアップを目指すのである。

 昨年セ・リーグのベストナイン三塁手の記者投票は、村上が246票。村上と同数で本塁打王、1打点差で二冠王の岡本和真巨人)は59票。これだけ差がつくのは想定外だった。なぜなら岡本の「2年連続本塁打王&打点王」は、巨人では1977年王貞治以来実に44年ぶり。右打者では長嶋茂雄もなしえなかった史上初の快挙だったからだ。

 本塁打と打点の二冠(三冠王を含む)はこれまで75人いるが、ベストナインに選ばれなかったのは5人目、日本人選手では藤本勝巳(阪神)以来61年ぶり。二冠・岡本を大きく引き離すほど、村上が「一発で試合の空気を変える」圧倒的な印象度を誇ったということだ。当然MVPにも選ばれた。

「ミスター・タイガース」こと掛布雅之氏は昨年刊行した自著「阪神・四番の条件」の中で村上を評して「四番の顔がある」と絶賛していた。村上が狙う「3割40発100打点」は、掛布の現役生活15年でも1度しか経験がない。

 昨年、「四番打者の顔」を見せたのは、セ・リーグで村上・岡本・鈴木誠也(広島)。パ・リーグでは柳田悠岐(ソフトバンク)がいるが、柳田はトリプルスリーのイメージもある。パは吉田正尚(オリックス)に代表されるように、三番に強打者が名を連ねる。

  • 村上宗隆(ヤクルト)143試合139安打 打率・278(14位)39本 112打点106四球
  • 岡本和真(巨 人)143試合138安打 打率・265(22位)39本 113打点 57四球
  • 鈴木誠也(広 島)132試合138安打 打率・317(1位) 38本 88打点 87四球

 特筆すべきは村上の四球の多さで、セ・リーグ次点の鈴木に19個差。あくまで仮定の話だが、「同じ出塁」という意味で四球を安打に置き換えると村上は打率・316になり、21年はほぼ三冠王に匹敵する数字となる(上記、太字はリーグ最高)。

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