回答:

 現在の日本では、ほとんどの病気で「標準治療」が定められています。

 標準治療を「平均的な並レベルの治療法」と誤解する人も少なくないようですが、「科学的な根拠に基づいた、現時点での最良の治療法」を指します。

 標準治療を決めるのは専門医が集まる学会で、学会が作成する「ガイドライン」に記載、公開されています。

 標準治療であれば、全国、どこの病院でも同じように受けられるため、治療技術の地域格差や病院格差は小さくなっているのが現状です。保険適用なので治療費も同じです。

 ただ、標準治療であっても、特別な設備や専門のスタッフが必要なものについては、実施していない病院もあります。

 倉敷中央病院院長の山形専医師はこう話します。

「患者さんのなかには“神の手”をもつ名医に診てもらいたいという希望をもつ人もいます。

 しかし、ガイドラインが作成され、学会などでの情報交換も盛んにおこなわれている現在の日本では一般的な病気であれば、どの病院でも一定水準の治療を受けられるようになっています。ことさらに名医を追い求めなくても十分な治療は受けられるでしょう。

 それでも希望する場合は、主治医に申し出てみてください」

■指定難病や進行がんなど、標準治療がないことも

 一方、厚生労働省の定める指定難病や、がんなどの進行例・再発例では標準治療が決まっていないものもあります。

 この場合は、病院や医師によって治療法に違いが出ることもあります。

 気になる最新治療ですが、「先進医療」という名称で提供されることが多いようです。

 効果や安全性が実証され、いわば保険適用にするかどうか検討中のものといってもいいでしょう。

 先進医療は実施承認を受けた病院でのみおこなわれ、先進医療の部分は自己負担となります。

 適応条件などが決められていて、だれもが受けられるわけではありません。主治医に相談して、自分にとってその治療が必要かどうか、適応になるかどうかを見極める必要があります。

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