兵庫県明石市の泉房穂市長(撮影・今西憲之)
兵庫県明石市の泉房穂市長(撮影・今西憲之)

 兵庫県明石市の泉房穂市長と、兵庫県の斎藤元彦知事が”バトル”を展開している。

【写真】築城400周年記念でライトアップされた明石城

 AERAdotで【独占・吉村知事を酷評した泉明石市長が激白「菅総理にこび売って何もしてない」】(2021年4月29日)と報じたように、大阪府の吉村洋文知事にも敢然と苦言を呈する泉市長。次は吉村知事の元側近の斎藤・兵庫県知事と”冷戦”が続いている。

 明石市のシンボルとして知られる、明石城は江戸時代に初代明石藩主・小笠原忠政が徳川幕府2代目将軍、徳川秀忠に命じられ、築城した。国の重要文化財に指定されている。貴重な東西の幅380mの石垣や三層櫓で知られ「日本100名城」にも選ばれた。明石城と隣接する明石公園の一部が国の史跡に指定されている。その整備を泉市長は問題視している。

 2018年3月から兵庫県は明石城築城400年事業の一環として、県立明石公園などの周辺整備をしている。「石垣の原則5メートル以内の木」「明石駅ホーム上や園内の芝生広場など、公園から見て眺望を妨げる木」が伐採の対象となり、これまで約1700本の樹木が伐採された。

 泉市長はAERAdot.の取材に対し、こう憤慨する。

「明石公園の樹木をあれほどたくさん切るなんて…。切りすぎや。県立なので管轄は兵庫県で、明石市長の権限はないが、あまりにひどい木の切り方なので声をあげた」

 実際に明石公園へ行ってみると、根本からバッサリと切り落とされた、切り株が広がっていた。一部の切り株には、黒い薬剤のようなものが塗られて、不気味な印象だ。訪れていた市民もこう話す。

「根本から根こそぎブッタ切るような感じで、黒い薬剤もあって景観がだいなしや」

 昨年秋以降、樹木の伐採についての苦情が泉市長に直接、寄せられることが増えたという。泉市長はさっそく行動に移った。

 明石公園の整備の管轄は兵庫県なのでトップの斎藤知事に直訴しようと考え、携帯電話をかけた。

 しかし、電話はつながらず…。泉市長は1月27日に斎藤知事に直談判するため、兵庫県庁に足を運んだが、面談はかなわなかった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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斎藤知事が泉市長を避ける理由は?