鈴木誠也選手
鈴木誠也選手

 本来であれば鈴木誠也は既にMLBに移籍し、現地時間2月20日からの春季キャンプに向けて準備をしていたことだろう。

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 2月12日(現地時間:以下同)、ニューヨーク市内で行われた新労使協定を巡る交渉はまたも決裂した。今回の交渉では、今季からの両リーグでの指名打者制(ユニバーサルDH)の導入はほぼ決まったようだが、争点となっていた年俸の最低保障額、ぜいたく税などに関しては進展がなかった。17日にも6度目の交渉が行われたが、話し合いはわずか15分で終了。『USAトゥデー』のボブ・ナイチンゲール記者はSNSで「今月末までに合意に至らなければ、開幕(3月31日)も延期される」と投稿するなど、タイムリミットの迫る中、解決の糸口が全く見えない状況が続いている。

 この新労使協定さえ決着がつけば、鈴木自身もこの煩しい日々から解放されることだろう。しかし、こればかりは憂いていても仕方がない。それに鈴木の移籍先予想は、今も現地では人気のあるトピックなので、これは本人にとってもありがたい事であると願いたい。

 昨年11月にポスティングシステムでのMLB移籍を正式に表明して以降、現地ではレッドソックス、マリナーズ、ジャイアンツ、ヤンキースなど、10球団以上が鈴木の獲得に乗り出すと報じられている。しかも、鈴木に興味を示す球団は今でも増え続けている。最近では、ダルビッシュ有が所属するパドレスが鈴木獲りに参戦する可能性が報じられている。これは2月10日付の『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』の記事で伝えられた情報で、球団関係者からの話であるとも紹介されている。

 これらの報道とは別に、最近では鈴木がMLBでどれほど活躍できるのかにも注目が集まっている。データ分析サイト『ファングラフス』は、2月15日に鈴木の成績を予測する特集記事を掲載した。同記事では、鈴木が報道にも出ている5年契約を結んだ場合、どれほどの成績が残せるかを「ZiPS」(成績予測システム)を用いて検証している。それによればMLB移籍1年目の鈴木のスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)は、529打席で.287/.351/.480で、152安打、23本塁打、81得点、85打点、12盗塁を残すと予測されている。そして、昨年大谷の満票MVP獲得の決め手となったWAR(代替可能選手を上回る勝利数)という指標は2.6であった。なお、昨季の大谷のWARは8.1(打者+投手の合算)である。この成績について、同記事は「平均的な球場という設定でみると、鈴木はリーグ平均よりも優れた両翼の外野手ではあるが、何か付け加えなければオールスターレベル(の選手より)よりも下回っている」とも指摘する。

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