「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。AERA dot.連載12回目の今回は、6年生を目の前にしても受験生としての自覚がない息子にモヤモヤしているお母さんからの相談です。

MENU ■成長期の子どもは言うことがコロコロ変わる ■「受験はしたいけど、勉強はしたくない」 ■矛盾をはらんだ言動に親はどう向き合うか?

*  *  *

■成長期の子どもは言うことがコロコロ変わる

安浪:お母さんが気合が入ってしまうのはわかりますが、子どもは1年先のことなんてまだまだ実感は持てないですよ。

矢萩:前々回にも話が出たと思いますが、成長期の子どもって言うことがコロコロ変わるんですよ。だからいちいち子どもの言葉に振り回されてはダメ。「受験をやる」って決まっていたとしても、折を見て「なぜ受験をするのか」という話をして、合意形成しておいたほうがいいと思います。

安浪:矢萩さんは「なぜ受験をするのか」に関しては、子どもにどんな方法でアプローチをするのですか?

矢萩:僕は「選択肢とその意味について考える」というのをけっこう時間をかけて生徒と話したりしますね。というのも、結局何かモヤモヤしている状態って、自分には今どんな選択肢があって、その先に何があるのかわからない、という状態だと思うんですよ。だから、今、君の前にはこういう選択肢とこういう選択肢があるよね。こっちに行ったらどうなる?こっちだったらどうかな?って大人側のアドバイスと子ども自身の認識をすり合わせながら考えていくんです。

著者 開く閉じる
安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

NEXT自分で判断できるときに選べるよう、選択肢を持っておく
1 2 3 4