大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が停泊している大黒ふ頭を出る災害派遣医療チーム(DMAT)の救急車両=2020年2月19日
大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が停泊している大黒ふ頭を出る災害派遣医療チーム(DMAT)の救急車両=2020年2月19日

 その端緒は日本で新型コロナの感染拡大が始まるときに現れていた。2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で集団感染の問題が起きたときの話だ。災害医療センター内には「DMAT」と呼ばれる災害派遣医療チームの事務局があり、クルーズ船の集団感染でも職員が現地に派遣された。

 一部の職員は災害医療センターの敷地内にある宿舎で暮らしていたが、現地から戻ってくることになると、病院の幹部から「その職員を敷地内に入れるな」という発言が出たという。当時を知る医師はこう語る。

「その発言をしたのは、現院長の土井庄三郎氏(当時は副院長)です。当然、DMATでは『これは差別発言だ』と問題視し、関連学会である日本災害医学会から強い抗議声明が出されました。声明の中に災害医療センターの名前は出ていませんでしたが、あの声明の背景の一つには、土井氏の発言がありました」

●診療科Aの医師らが相次ぎ退職

 また、昨年、東京が新型コロナの第4波に襲われている最中に、災害医療センターでは、コロナ患者の受け入れの制限を行っていたという。コロナで肺炎になった患者など重症者を受け入れる救命センターの受け入れも縮小していた。ここでも土井院長の存在が影響していたようだ。ある職員はこう語る。

「院長はコロナ対応について消極的でした。国からコロナ病床を増やす要請があってやっと病床は確保したものの、コロナが全国的に落ち着いたときで病床はがら空き。院長からは『患者は実際に入れず、パフォーマンスとして用意しておけばよい』という発言もあったようです。しかし、目に見えて収益が落ち始めると、第6波を前にして、『患者を入れろ』とコロナ病床から一般病床に切り替えました。その後、コロナ患者が全国的に増えると、今度はコロナ病床の確保のために『一般病床を空けろ』とまた急に方針転換した。現場は振り回されました」

 この他にも多数の医師が離職する事態も起きている。昨年8月、年間20億円の収益をあげてきた診療科Aに所属する医師が4人中3人も辞めることになり、院内に衝撃が走った。ある医師は「背景にあるのは土井院長による医師の東京医科歯科大出身者への置き換えだ」という。

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看護師が大量退職、パワハラに盗撮騒動も