子どもに投げかける言葉は大切。※写真はイメージ (c)GettyImages
子どもに投げかける言葉は大切。※写真はイメージ (c)GettyImages

 うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。

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 親が子どもに対して言ってしまう言葉のナンバーワンは、「勉強しなさい!」かもしれません。誰もが、口にしたこと、されたことがあるのではないでしょうか。

 しかしこの言葉は、実はあまり中身がない、「ぼんやり」したものです。ですからこの言葉を言ったとて、行動させるのはなかなか難しいように思います。

■「ちゃんと」の内容を具体的に伝える

 先日、病院に行ったときのことです。私は小2の息子に向かって、「こういうところでは、ちゃんとしていてね」と伝えました。

 しかし、受付でなかなか名前が呼ばれず待ち時間が長くなってくると、息子は徐々に足をバタバタさせたり、イスの上に寝そべろうとしたりし始めたのです。

「ちゃんとして、と言ったのに」と思いつつ、暇をもてあました息子を注意しようとして……ふと、「この言葉は、あまりに漠然とした抽象的なものではないか」とハッとしました。

 実際のところ、私は息子に対して「ちゃんとして」と言っただけで、具体的に何をすべきなのか、何一つ伝えていなかったのです。

 本当なら、「イスから降りずに座って、小さな声で話して。大きな音はたてないで、動くときは走ったりせずに歩いてね」というように伝えるべきでした。

 さらに言うなら、「こういうところでは」という言葉も、ぼんやりしていて、あまりに説明不足です。

 病院とは、体調がよくない人たちがたくさんいるところです。大きい音を出すと、頭が痛くなったり具合が悪くなったりする人がいるわけです。

 そうした理由も併せて話しておけば、因果関係から、「してはダメな行動」も理解できたでしょう。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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